【6】changeling eyes (チェンジリング・アイズ)


   *   *   *


 奏でられているのは、ピアノとシタール。
 また同様に、歌っているのもその奏者たちだった。


「And so here we are
 So far from earthly orbits
 Burning supernovas of all sound and sight
 Where every day will return us
 To arms of the ever eternal」


「歌は 今 風に乗って 遥か遠い 貴方の元へ
 何時か空は 一つにつながり 渡ってゆける 貴方の元へ」


 原曲となっているのは、ボロディンの「だったん人の踊り」と呼ばれるものだ。
 高音は日本語、低音は英語で歌われる。
 伴奏を楽器二つで奏で、主音を2人で歌う、二重奏。

 それを、まるでひとつの楽団の演奏でも聞き及んでいるように彼女は耳を傾ける。

 その音は酷く、熱烈に愛を謡うように。
 そしてその歌の件の奏者達は、周りの人間が増えていることに気づかず歌う。

 片方は、特徴的に逆立てられた柔らかなカナリヤ色の髪。
 そして、今は瞑られているまぶたに隠れる水色の瞳。
 ただしその姿は、その楽器を奏で謡えればいいと言わんばかりに適当にピアノの足に寄りかかり座り込んだ青年と。

 もう片方は、全身の基調色を灰色で埋め尽くされた青年。
 髪も、服も、所々に露出した肌にも同色のボディペイントが入れられている。
 ただこちらは流石にピアノの伴奏者だけあって、椅子にしっかりと腰掛けている。

 トーン、と。

 とうとう最後の音も奏で終わったか。
 ゆっくりと名残惜しそうに、二つの弦楽器の長く引き伸ばされた音が少しずつ消えていき。

パチパチパチパチパチ…

 その瞬間、入り込んだ拍手の音。
 もちろん、それはいつの間にか壁にもたれるよう聞いていたナンバー1の指導者でも。
 腕を組んで聞き及んでいたナンバー10の指導係でも。
 さらにあたりまえなことに、未だ楽器に触れている当の二人でもなく。

 戸口に立ったまま、最後の最後まで静かに聞いていたリエその人。

 確かにそれは当たり前の反応だろう。
 演奏に感動すれば、拍手をする。
 しかも今ので言えば、特上級を意味するスタンディングオベーションともなる。

 のだが。



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