【6】changeling eyes (チェンジリング・アイズ)


「それで…、その方は研究でもなさっているんですか?」

「いや。ごく普通の戦闘員だ。家業もこなせるが、貴女が来てからあまり携わらなくなったがな」

「でも…、こちらは別館で研究施設ばかりだと…」


 足を向けている方向は、城内の掃除も請け負っている彼女ですらあまり踏み入れない、渡り廊下で区切られた別館だ。
 話では危険物扱いの研究施設ばかりで、極端な研究者でもなければあまり踏み入れることはないというのだが…。


「ああ。我々の目的地はその隅に供えられた音楽室だよ」

「音楽室?」


 リエが鸚鵡返しに首をかしげつつ問えば、ルクソードの解説が返る。


「彼は暇さえあれば配下と戯れているかピアノを弾いているからな。ゼムナスやデミックスのお墨付きだ」

「まぁ!」


 戦闘家業ときて、さらに音楽。
 しかも芸術関連にも知識が通じていそうなゼムナスと、楽器を武器にすらしているデミックスも認めているほどだという。
 となれば、なかなかの腕前の持ち主だ。

 そしてその目的地が音楽室。
 ということは、今もその一人はピアノを弾いている可能性が高い。


「わぁ! 凄いんですね!」

「ああ。俺もそちらはまだ聞き及んでいないがな、恐らく中々のものだろう」


 どんな人なのだろう。
 そんな期待が彼女の胸に膨らむ。


「…ああ、だが。その前に一つ」

「はい?」


 しかしそんな期待から早まる歩を前にして、立ち止り人差し指を構えたルクソードは言う。


「彼がもし歌っていた場合、音を出してはいけない。少々危険だからな」

「…はい?」



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