【6】changeling eyes (チェンジリング・アイズ)
「それじゃあ、その方は私の先輩にあたる方なんですね?」
「ああ、そうとも言えるな」
そう対話しながら。
機関の人間には珍しく「回廊」を使わず、廊下を歩く二つ分の人影。
「そうですか…、じゃあやっぱり凄い方なんでしょうね…」
片や、澄み渡った春の晴天にも似た空色の瞳。
背中の中央近くでリボンにより緩く結われた、栗色より明るい栗梅の長い髪。
そして、何処か好奇心に顔を輝かす子供のような笑顔を浮かべる少女。
ただしその穏やかな雰囲気により母性も醸し出してか、大人の女性ともとれる。
「ああ。確かに、凄いといわれれば凄いだろうな」
片や、薄いゴールドと黄色の中間とも取れる色をした短く刈られた髪と瞳。
そして紳士然とした雰囲気と共に口元に蓄えられた髭。
確かにその笑顔は、いかにも紳士という言葉が似つかわしい。
「それなら、気合いを入れてご挨拶しませんと!」
「ははは、そう気負う必要はないさ」
彼らの名は、リエとルクソード。
機関の家庭行全般を担っている家政婦さん顔負けの女性と、その指導役だ。
そして彼らは今、何を目的に歩いているかというと。
「でも私、今までその方と一度もお話したことありませんし…」
「その点においては大丈夫さ。彼には他人との垣根はほぼ無意味だからね」
彼。とは。
機関に入って未だ本の少しもたたない彼女の暫く前に機関へと招かれたもう一人の人間のことであり。
「そうなんですか? ではとても気さくな方なんでしょうね…」
その目的は、その言葉通り。
彼女が未だ顔を合わせたことのない、件のもう一人との対面だ。
今の今まで、彼女は機関の全員と顔合わせをした。
が、その一人だけ。
まるで狙ったようにタイミングが外れ、どうしても会えない。
それも全員と顔を合わせたのにその一人だけ、となると彼女の性分がそれを許せない。
そのためこうして、指導役であるルクソードに頼んでそのもう一人に会いへ行く途中。というわけなのだが…。
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