【26】日常というぬるま湯の中で
side ピスティ
『お、おおおおおお!!す、すごすぎます!!』
私が呼び集めた様々な鳥たちの姿を見て、興奮した声を上げるとも。
その瞳は、キラキラと輝いていて、酷く子供っぽく見えた。
『さ、触っても?!』
頷けば、怖々と・・・けれど、優しい手つきで一羽一羽の羽を撫でるとも。
感触を、形を、骨格を。
鳥たちの細部を確認するように出る様は、研究者のそれであったけど。
同時に至極幸せそうに愛しそうに。
他の動物たちも読んであげるねと口にすれば。
『是非、お願いしますね!』
本当に嬉しそうに笑うから、年上のくせにそうは見えなくて。
なんだが、王様が気に入っている理由もわかってしまう程、ともは魅力的で。
「まーた、時間を忘れて観察してるし!」
中庭の木の下に咲いた一輪の白い花。
その前に座り込み、一心不乱に筆を動かすともに声をかける。
ビクリと大きく体をはねさせてから振り向いた顔は若干赤い。
「ピスティ・・・」
「で?ともはいつからここにいるのかなぁ?
・・・ま、さ、か。朝からずー・・・っと、水分も取らずにいるわけじゃないよねぇ??」
「え・・・っと」
逃げようとして立ち上がったともは、長時間同じ体勢でいたことと。
熱帯の気候であるシンドリアの日中、いくら日陰とはいえ水分も取らずにいたせいで。
熱中症・・・いや、軽い脱水症状を起こしているのだろう。
その場にヘタリと座り込んでしまう。
「駄目じゃん!水分だけはちゃんと取らなくちゃ!」
「・・・ありがとうございます、ピスティ」
持ってきた水筒を渡せば、申し訳なさそうに受け取り、ゆっくりと水を口にする。
その姿を見て、ため息をはき出しながら木を見上げる。
「マスルールも!ともと一緒にいたなら、適当なところで休憩取らせなくちゃだめでしょ!」
「・・・うす。すんません」
ともが外にいる時、必ず近くで周りを警戒してること、知ってるんだからね!
ジャーファルもヤムライハもシャルルカンも!
みーんな、ともの事を見ているくせに声をかけないんだから!!
「ほら!ご飯食べに行くよー」
「そんなに引っ張らないでください・・・ピスティ!」
「ん?まだふらつく??じゃあ・・・マスルール!」
「・・・うす」
「え?・・・ちょっ!じ、自分で歩けます・・・!」
「いいからいいから~。ほら、行くよぉ」
=日常というぬるま湯の中で=
「・・・いいな。俺もあの中に」
「だめですよ、シン。せめて今日中にこの書類の山を二つ、片付けて貰わなくては」
「ジャーファルも混ざりたいくせにぃ」
「そうですね。でも、貴方が仕事を放り出さなければ、私も貴方もあの中に入れていたんです」
「・・・」
「無駄口を叩いている間に、手を動かしてください」
「俺も、お腹が空いたなぁ・・・とか」
「書類を見ながらでも食事が取れるようにサンドイッチを用意しました。それで我慢してください」
「・・・ジャーファル君のいけず」
「そうですか。徹夜で書類を仕上げてくれますか・・・がんばってくださいね」
「っ!!」
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