【26】日常というぬるま湯の中で
中庭でスケッチブックを広げるとも。
真摯な瞳は地面に咲いた一輪の白い花に向けられており、そこだけが別の空間に切り取られてしまっ
たかのような錯覚を覚える。
近くの木から鳥が飛び立っても。
木の葉を巻きこむような風が起きても。
ともの視線は花からそらされることなく、手に持ったペンで紙に描かれていく線。
段々と紙の上に姿を現す一輪の花。
まるでそこだけを切り取ったかのように描かれていく。
ともの様子を伺う視線。
時や場所は違えど、ともに向けられる視線。
彼女はそれさえも気づくことなく、紙に花を写すことに集中していた。
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