【21】Summer vacation!
「おーい、嬢ちゃん。まだかぁ?」
「へっ? シグバールさん?」
(シグバール。レディの部屋をそう無粋に覗きこむのはいかがかと思うぞ?)
「え? その声、ルクソードさん?」
ひょこり、と顔だけをのぞかせる眼帯と、室外からサウンドオンリーでそれをたしなめる紳士ボイス。
「ちょっと財布兼荷物持ち! なに女の部屋覗いてんのよ!」
「オイオイそりゃねぇだろ!」
「私の名義で休日貰ってあげてんのよ! そのくらい働いて当たり前でしょ!」
まるで奴隷商の決め台詞である。
さすがラクシーヌ。
つまり、休日の名義を渡す代わりに今日は任務以上の重労働決定打を二人に与えた、ということか。
世の中ギブアンドテイクと言うが、ギブとテイクの天秤が釣り合わない気がするのは立たされている男二人だけなのか。
「せっかくなんだしそんくらい良い目を見たって罰はあたらねぇだろってハナシだ」
「あらそれならアンタは私の荷物担当ね、よろしく」
「ぐぇ!?」
その瞬間くだった死刑宣告に踏みつぶされたカエルのような声を出すシグバール。
どちらにしろ後は買い物付き合いに忙殺されてカエルの声すら出せなくなるのだが。
(まぁ、気晴らしに外へ買い物でもしよう、というわけだ。俺たちではご不満かな?)
「い、いえっ! 今すぐ準備するから待ってて下さい!」
(ああ)
部屋の入り口で言い争う二人をよそに響くルクソードの声に応じれば、その声はやはり楽しそうに返事をした。
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