【2】夏色
「おはよう、名無子、ラクシーヌ」
「…………ん」
「おはよう、シオン」
洗面所に着くと、先客がいた。
シオンはタオルを顔に押し付けると、鏡を見た
ラクシーヌは水を撒き散らしながら顔を洗ってる
「こらこら、大雑把もいい加減にしないと……水浸しにする気?」
「うっさいわね……シオン、床拭いて」
「うん」
「シオン使わない!シオンも使われないの!」
「……ご、ごめん」
「あ、こっちがごめん」
「なんだっていいじゃないの。本当うるさいわね。……じゃあアンタが拭きなさいよ」
「……………」
根っから女王様気質のラクシーヌは自分で床を拭くという行為ははなから頭に無いらしく、私に向かって顎で床を示す
ちょっとムカッときたから、ラクシーヌに雑巾を渡してやると、ラクシーヌは心底汚いものでも見るかのような目をして人差し指と親指で雑巾を摘まんだ
「これ、どうすんのよ」
「拭くの、床を」
「はぁ?私が?」
「あんた以外に誰がいるっていうの?」
「あんたの顔拭いてあげちゃおうか~?」
「あはは。おもしろい冗談~……ダイヤモンドは汚れてもダイヤモンドだから平気だよ」
「誰がダイヤモンドよ、誰が。………ったく」
ラクシーヌは目元に不愉快の色を示し、床を吹いた
私とラクシーヌの言い合いを見ていたシオンは、ラクシーヌが床を拭いている様子を見てかなり動揺している様子だ
私はそんなシオンの肩に手を置く
シオンは私を見て首を傾げた。可愛いな、おい
「ほら見てシオン……あれがSからMに変身した女王様よ………あんなに超ド級のSシーヌが床を悔しくも苦しげな顔で拭いてるのよ?………THE・征服感…」
「え、えすからえむ…………Sシーヌ?」
「(; ̄□ ̄)Sシーヌって人の名前で遊ぶな!バカなこと言ってんじゃないわよ!」
何はともあれ、今日の朝も平和なわけだ
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