第2章:長期任務の幕開け


「だって、三人いるでしょ? リーシェさん」

「はーいvv」


「カナン・ルースディ・レンブラントさん」

「改めて、はじめまして」


「ソラ・アウリオンちゃん」

「ふぅ?」



シズクが一人一人、その三名の名前を紹介していく。

リーシェはノリよく返事して挙手をし、カナンは笑って挨拶しなおす。

ふーちゃん…もとい、ソラは自らの真名を呼ばれるのに慣れていないのか、

自分が呼ばれたという実感がないようだ。



「…ま、まさかこういう形で、別のエクレシア二名と会えるなんて」

「ビックリだな…」



シンはその事に度胆を抜かれたようで、ルドガーも彼の言葉に賛同する。



「ふーちゃんって、エクレシアだったんだ…」

「ふぅー」



エクレシアが自分よりも年下の幼児である事に、エルは興味津々だ。

ソラは、周りの視線などお構いなしにリンゴジュースを美味しそうに飲んでいる。



「シズクがこの子の事を知ってたのは…『仕事』関連で写真を見た事があったからなのか?」


「はい。この子、私の仲間が捕獲担当なんです。

私は別のエクレシア担当なんだけど…」



さらりと答えるシズク。

そんな彼女に、ルドガーとシンの胸中は複雑だ。

シズクの中にある『エクレシアは組織の捕獲対象である』という意識にもどかしさを感じてしまう。


それは、傍らにいるエクレシアも同じだろう。

表面には出していないが、リーシェとカナンは、シズク…いや幻影旅団の目的を

より一層不快に感じているはずだ。


ソラは、幼いため自分がどんな目で見られているのか理解していないだろうが…

返ってそれで救われているのかもしれない。


その時、ルドガーはある事に気付いた。

ブドウジュースに浸っている雛が、シズクをじぃーと観察している事に。

愛らしい眼が微妙につり目になっている。



「シニョリーナ、余計な事を言わせてもらうが…

ミーチョに変な真似はしないでくれ」



さらに、カップを回収しにきたリゾットが警告をしてきた。

微弱ながら殺気が混ざったオーラを醸し出している。



「…私は、担当以外のエクレシアに手をかけるつもりはありません」



シズクはそれに気付いていたようで、この子に危害を加えないと表明した。

ならいい、とリゾットは殺気をしまうと彼女のコップを回収する。



(…この人も、エクレシアの関係者なのか)



ソラを人一倍気にかけている様子から、多分そうなのだろう(雛の方は…不明だが)。



「あっ、そろそろ…」

「ん? そういや誰か来るって言ってたけど、その人?」

「はい。二時頃に会う約束をしてて」



微妙な空気が流れているのをスルーするように、カナンとリーシェは他愛もない会話をしている。

シズクの発言は全く気にしていないようで…ルドガーとシンは内心ホッとした。



「誰が来るのかなー?」

「案外、私達の知ってる人だったりして…」



シズクもまた、周り(ルドガーとシン)がヒヤヒヤしている様子も意に介しておらず、エルと喋っている。



(俺達って…取り越し苦労だったのかな)

(そうでもないさ、いや…絶対に考えすぎなんかじゃないはずだ。ルドガー)



『なんか自分達だけ、彼是と心配しててそれが無駄だったのかな』と

ため息をつくルドガーに、シンは『自信もて』とフォローする。



  ピンポーン



彼らの会話に区切りをつけるように、部屋のインターホンが鳴り響いた。





【トリプルな再会】





「どちら様で?」

『すみません、こちらにいるカナンさんの知人の者です…』



扉越しに、リゾットが問いかけると若い青年の声が聞こえた。

あれ…?と聞き覚えのある声に、ルドガー達は視線を向ける。

リゾットが扉を開けると、「失礼します」と白衣を着た若い青年が入ってきた。



「「「ジュード!」」」

「あ、知らない子だ」



その姿を目にするや、シズク以外の三人の声が見事にはもった。



「あれ? ルドガー、シンさん、エルも…皆もいたの?」



ジュードもまた、顔見知り三名との意外な形での再会にきょとんとしていた。





【つづく】

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