第2章:長期任務の幕開け
「今日、貴方を此処に呼んだのは…ユリウスさんの件です」
「兄は…体調の方はどうなんですか?」
ようやくその質問を口に出来た。
リーシェはふぅ、と軽く息を吐くとこう続ける。
「ユリウスさんを捜索するのに苦労しました。
…あのトマト野郎、人の忠告スルーしやがって…
その所為でこっちは時間を潰された挙句に時間外治療する羽目になったんだ。
問題解決したら料金上乗せして請求してやる。
ま、どうにか見つけ出しましたよ」
ユリウスは、やはりリーシェの忠告を無視して身体を痛めていたようだ。
その経緯を語るリーシェの表情に機微はないが、途中から語気が鋭くしてどす黒い本音を交えて
喋る姿は身の毛もよだつ程の怖さがある。
背景にブリザードが見えるのは…気の所為ではなさそうだ。
「あ、兄が…ご迷惑をおかけしてすみません」
ルドガーは恐縮して謝った。
仮面をつけていなくても、リーシェはいつもの彼女だった。
むしろ、素顔を晒した事で彼女の凄味がより実感してしまう。
「気にやまないでください。…ユリウスさんとはきっちり話はつけましたから」
「話…?」
「ええ、約束してもらいました。…『二度と勝手な事はするな』と。
あと体調を崩していたので【特殊な治療】を行いました」
「!? 兄さんは…!」
「今は大丈夫。よほどの行動をしなければ、健康体ですよ…《彼》はね」
ユリウスの身体面に問題ないと分かり、ルドガーもホッと胸を撫で下ろした。
きぃ…とブランコを微かに揺らすと、リーシェは視線をあげる。
「ふぅ…いい風」
ひんやりした夜風が心地いいのか、リーシェは軽く目を閉じて息をつく。
そんな彼女の横顔を見ながら、ルドガーは胸に引っかかっていたある疑問を口にした。
「…リーシェさん」
「ん?」
―――《選択肢発生》―――
◇なんで、一部の人以外には貴方と連絡しあっている事を教えたらいけないんですか?
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◇家族の事なんですけど…
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