第2章:長期任務の幕開け
その時、暴走が収まったヴォルトがうわ言のように呟き始めた。
《ジジ……エラー。
……タマシイ……オセン……シンコウ……》
「魂? 汚染…進行?」
ヴォルトが口にする意味深げな単語を、ジュードは反芻する。
「ヴォルト…それってどういう意味なの?」
ジュードが近寄ろうとしたその時、ヴォルトが苦悶の表情で全身から雷を放出した。
《コントロール……フノウ!》
ヴォルトはさらに体内にから大量の雷を放っていく。
言葉通り、最早自らの力ではどうにもならない状況…自爆する勢いだ。
「皆、伏せろ!」
「きゃあッ!」「いやぁあああ!!」
『丸こげになっちゃう―――!?』
このままでは、ヴォルトとともに道連れにされてしまう。
「…うぉおおッ!!」
「ルドガー…!?」
ヴォルトの異変に触発されたかのように、ルドガーの身体が変貌した。
(ストリボルグ号の時と同じだ…!)
動揺するジュードをよそに、変身したルドガーは剣から変化した大きな槍でヴォルトを貫いた。
【源霊匣の暴走】
「もう少しゆっくりしてもいいのに…」
「ごめんなさい。そろそろ支度しないといけないから」
コゼットはそう言うと、靴を履いて玄関口を通っていく。
「コゼット」
帰宅しようとする娘を、リエは呼び止める。
なあに?とコゼットが振り返ると…
「辛くなったらいつでも此処にきなさい。
―――思う存分甘えていいから」
リエはいつになく真面目な表情で言った。
これから、娘の身に起きる事を想定した上で…
苦しくて挫けそうになっても、心を癒せる場所がある事を伝えたのだ。
「うん、そうする」
コゼットは目を伏せてほんのり笑みを零す。
彼女が背中を向けるや、タイミングよくリエの視界を遮る強風が吹いてきた。
一瞬の風がやんで、再び目を開けた頃には…もうコゼットの姿は見えなくなっていた。
「―――いってらっしゃい」
穏やかな顔で、リエはその言霊を唱えた。
…娘の新たな《出発》と無事を願って。
【つづく】
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