第2章:長期任務の幕開け
「【タイドバレッド】!」
「【風陣破】!」
ルドガーが正面広範囲に銃を連射する。
それに合わせる形でシンが風を纏った拳を前に突き出し、波状攻撃を放った。
ピキッ、ピキッ
《ジジッ…ガガッ!?》
シンの放った風の衝撃波がヴォルトを包み込み、そこにルドガーが撃った弾丸が合わさり、
鋼体にさらなるヒビが入る。
「やった…ッ」
「休まず続けるぞ!」
複合技にはならなかったものの、ヴォルトにダメージは与えられた。
その証拠に、防御壁が少しずつ剥がれおちており、脆くなっている。
「こりゃ負けてられねえな…」
「そうだね…アルヴィン、手を貸して。【治癒功】」
ルドガーとシンの連係プレイに感化されたのか、息を切らしていたアルヴィンは思わず口元が吊り上がる。
ジュードも同じだ。
アルヴィンの手を握ると回復術をかけた。
電撃で腕や足のところどころにできた彼の傷を癒すと、今度は己にも術をかけて
負傷部分も治療すると、攻撃を再開した。
「こっちだ、【輪舞旋風】!」
「燃えちまいな、【我流紅蓮剣】!」
ジュードがヴォルトを蹴り上げると、アルヴィンが炎を纏った剣で真一文字に斬りあげる。
「今度こそ…【スタビリィエイム】!」
「【気孔拳】!」
ヴォルトの背後に回ったルドガーがすかさず射撃し、シンが気を溜めた拳で勢いよく鋼体を突いた。
《グガッ…ジジジ…ガガッ!?》
すると、内側の本体が苦しみだし、脆くなっていた鋼体がパリーンッと音を立てて破裂した。
「本体は無防備状態だ!」
「やるなら今だ!」
ジュードとアルヴィンの呼びかけに、ルドガーは武器を剣に切り替え、その隣でシンも構えをとる。
(…一気に決める!)
(これで終わらせる…!)
胸中で意志を固めたその刹那、二人の身体を繋げるように、光の糸が発生した。
二人の脳裏に閃きが走る。
同時に地を蹴り、ヴォルト目掛けて、ルドガーは剣技を、シンは闘気を放った。
「―――【双覇連散】!!」
重なり合った二つの術がヴォルトの胸を十字に貫き、大きな閃光をその場に生じさせた。
複合技が成功した瞬間だった
ルドガーとシンが振り返ると、ヴォルトは全身から黒煙をくすぶらせ、膝をついて静止していた。
「ルドガー! シン!」
戦闘が終わったルドガーとシンのところへエルが駆け寄り、二人に抱き付いた。
「わぁっ!?」「おっと…」
飛びかかって来たエルを二人はしっかりキャッチした。
「グスッ…よかった…ビリビリ倒してくれて…」
「…大丈夫。ほら、泣くなよ」
半泣き状態のエルを見て、ルドガーは顔がつい綻んでしまう。
目元を指で優しく拭き取ってあげた。
「そうそう、女の子は泣き顔よりも笑顔が一番」
シンも笑って、エルの頭をくしゃりと撫でる。
「そうだ…シズクは?」
「安心してください」
『ばっちり治したぞー!』
エリーゼとティポが得意げに言う、彼等の視線の先には…
うーんと寝起きのように気持ちよさげに伸びをするシズクがいた。
「あれ…? みんなどうしたの?」
感電した影響か、シズクは前後の記憶が曖昧になっているようだ。
「シズク…イタくない?」
「うん、逆に肩こりが治った感じ」
(え、肩こりって…)
(あれだけ直撃してたのに…?)
エルが恐る恐る尋ねると、シズクは右肩を軽くマッサージしながら、よっと立ち上がる。
エリーゼの回復術のおかげか…
ヴォルトの電気ショックによるものか、はたまた双方の相乗効果か?
どうであれ、シズクが無事に意識を取り戻した事は喜ぶべきだ。
(結果良ければOKだよな)
(ツッコんだら負けだな、うん)
ルドガーとシンは心の中でそう結論付けた。
世の中には余計な詮索をしない方がいい事だってあるのだから。
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