第2章:長期任務の幕開け
「―――【重裂破】!」
間髪入れずに雷撃を落としてくるヴォルト。
攻撃を回避しつつ、ルドガーは懐に入り、剣撃を浴びせた。
《ジジッ、ガガガガガッ!》
すると、丸い物体の中にいるヴォルトが両手を広げて、周辺に広範囲の強力な雷を発生させた。
「うわっ!」
「ルドガー、接近しすぎると危ないよ!」
ジュードは、ヴォルトとの戦いは二度目という事もあって攻撃パターンを読めているようだ。
「優等生の言う通り、あいつは適度に距離を保ちつつ、攻撃を仕掛けていかなきゃならないんだ
…【チェイスバレット】!」
アルヴィンが上空を飛びあがり、追尾弾をヴォルトにお見舞いする。
(そうか。なら…俺もこっちの方で戦わないと…)
ルドガーは使い慣れた双剣を、イバルから支給された二丁拳銃へと武器を切り替えた。
「ふぅ…骨の折れる精霊様だ」
同じく、愛用の剣で戦っているシンも今回の敵には余裕がなさそうだ。
彼の言う通り、雷の攻撃範囲が広すぎる上にヴォルトは己の身を守るため、
硬い防御壁を纏っており、本体にダメージが与えづらい。
バン、バンバンバンバァン!
ルドガーは中距離から銃弾を連発するが、鋼体に跳ね返されてしまう。
「普通の狙撃じゃ無理か…」
ヴォルトの方はますます凶暴性を増している。
戦闘が長引けば長引く程、こちら側が不利になってしまう。
どうすればいい…?
「ルドガー、シンさん」
解決策を模索していると、ジュードが話しかけてきた。
「共鳴術技(リンクアーツ)って、知ってる?」
「共鳴…術技(リンク…アーツ)?」
聞き慣れない言葉にシンが首を傾げる。
「兄さんから聞いた事がある。戦うパートナーがいる場合、自分とその相手が繰り出す攻撃を
複合させる事で技や術を生み出す方法…」
「そう…共鳴術技はアローサル・オーブを装備していれば発動させる事ができるんだ」
ジュードはそう言いながら、アルヴィンに視線で合図を送る。
アルヴィンはとニヤリと口端を上げると、銃をしまって大剣を構える。
「ヴォルトのあの防御を崩す方法…
一ヶ所に集中して技を叩きつけるって事さ。いくぞ、ジュード!」
「うん、アルヴィン!」
アルヴィンの掛け声と同時に、ジュードは駆け出す。
「【魔神拳】!」
「【魔神剣】!」
同時に発音だけは似ている別々の遠距離型の技を出す。
すると、一定の距離を保った二人の身体から光の線が発生して、彼らを繋いだ。
「まだまだ!」
「これでもくらいな!」
「「―――【魔神連牙斬】!!」」
交互に地面を走る衝撃破を走らせ、それらは大きな衝撃破となって、ヴォルトへ命中した。
その衝撃でピキッとヴォルトを包んでいる鋼体の一部にヒビが走る。
「あれが共鳴術技…!」
「…互いの術を組み合わせる、か」
ジュードとアルヴィンが複合技を連発していく様子を見ながら、シンは顎を手で擦りながら思案する。
「よし、俺達もいくぞ」
「えっ…でも…」
いきなり言われても…とルドガーは躊躇する。
「ルドガー、そう難しく考えるな」
シンが剣を収めると、右腕に装着している銀色の腕輪を調整する。
「此処まで辿り着く間の戦闘で、俺達はいくつか技を覚えたんだ。
あと必要なのは俺達のコンビネーションだけ。
なら…実践あるのみ、だろ?」
シンは焦る事どころか、複合技を完成させてやると…挑戦する気満々だ。
ルドガーの視線が自ずと戦いの場へ戻される。
…未だ暴走を止めないヴォルト
…応戦しているジュードとアルヴィン
…治療を続けるシズクとエリーゼ
…倒れているシズクを涙目で見つめるエル
(…迷っている暇はない…)
ルドガーは迷いを振り切り、シンに目を向けて言った。
「フォローを頼む、シン!」
「その言葉待っていた」
双銃を構えるルドガーに対し、シンは素手で構えを取る。
一か八か…やってみるしかない!
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