第7章:真実が落とす影


「その調子その調子」

「ん?」


レイアが石像をじっーと視線を上向きに観察していると、アルヴィンが意味深げな発言をする。


「こっちは見ないで、見上げたまんまの方がいいぜ。たまに崖から落石があるぞ」

「え! 驚かさないでよっ」


レイアは慌てて崖に目をやる。

つられて、カナンも崖に視線を向けた。

みた所、場所によっては建築物が建てられている影響で、落石があってもおかしくなさそうだ。


「気を付けた方がいいわね」

「そうだね…よーし、じゃあ上を向いて行こう!」


レイアはそう言うと張り切って進もうとした。

だが、その直後地面の石に躓いて転びかかった。


「上だけじゃなく、下も注意した方がいいぞ」

「う、うん。そうする…」


ミラが呆れたように指摘すると、レイアは苦笑いして返答した。



建物や像に華やかな色合いの布が巻きつけられ、風が吹くとそれらはたなびく。

闘技大会が近い事もあり、人々で賑わう町中を歩いていく。

アルヴィンが先頭で町の特色をガイドの人さながら説明していく。

ジュードとローエンは彼のガイドに耳を傾け、エリーゼはティポを抱きしめて、男性陣の一歩後ろをとことこと歩く。

彼女の少し後方で、レイアとミラが会話しながら歩いている。

カナンは斜め後ろで町の様子を眺めていた。

広場に差し掛かった時、カナンはある気配を感じた。


(…殺気? どこから…)


ゆっくりと目を動かしていく…すると頭上の崖に人影らしきものが見えた。

すると、微かな爆発音が起き、頑丈な岩にヒビが入った。

崖の一角がグラグラと振動し、細かな石の欠片がぽろぽろと流れるように落ちていく。

ちょうど崖の真下にいるのは、ミラとレイア、それから友達とかけっこで競っている小さな男の子だ。


「危ない!」


カナンの声に、ミラは異常事態に気づく。


「ミラ!」「レイア!」

「アルヴィンさん、男の子を…!」

「分かった!」


それぞれ反対方向から、カナンとジュード、アルヴィンが全速力で駆けていく。

その直後、大きな轟音と夥しい土煙を生じさせ、巨大な岩が崖から崩落した。


「きゃああああ!」

『ぶつかるぅううう!』


エリーゼとティポ、さらに周辺にいた住民達から悲鳴声があがる。



「―――『八刀一閃』」


誰かがその技を言う声が聞こえた。

次の瞬間、ミラを押し倒す形で倒れ込むカナンの目にある人影が映る。


「あれは…」


迫ってきた巨大岩に剣線が入り、瞬時にバラバラになって粉砕した。

カナンは上半身を起こした。

レイアは、ジュードのおかげで直撃範囲からずれたところで彼と共に倒れていた。

男の子の方も、アルヴィンが抱きかかえてスライディングしたのか、安全範囲内にいた。

直撃は免れたものの、岩の残骸のいくつかが地面を埋め尽くしたりして騒ぎになっている。

だが、もしもあの岩が壊されていなかったら…それ以上の大きな被害が出ていたかもしれない。

カナンの視線は自ずと向かい側にいる…ローエンの近くで長い刀を鞘に納めようとしている人物に向いていた。




【その人物に見覚えアリ】




銀色が掛かった長い髪。

雪のような白い肌に、身の丈程ある長刀。

深い青のサングラスをかけ、瞳の色を隠すその男性に…カナンは目を大きく見開く。


「……イザヤ…?」





【つづく】

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