第6章:【青空と夜空の街】に残された手掛かり
一行はきた道を駆け足で逆方向へ進んでいく。
道中、魔物にも遭遇したものの、カナンが双剣で斬り伏せて、レイアも棍術で退けていき、どうにか採掘場の入り口まで戻ってこれた。
「みんな…無事だよね…?」
「ふへぇー、マジ疲れた…」
「魔物の気配はしないし、ここで足を休めましょうか」
カナンの言葉に、全員は頷いた。
ジュードとデミックスは息切れをして、まだ意識が戻らないアグリアとニルスを地面に横たわらせると、彼等も腰を下ろす。
「はぁはぁ…」
「レイア、大丈夫か?」
レイアが一番しんどそうだ。
此処まで休まずに、車椅子を引いて一直線で走ってきたのだ、無理もない。
ミラが心配そうに声をかけるが、レイアは「あはは…平気だよ! まだまだ動けるから~」と元気よく振舞う。
「レイアちゃん、休んだ方が良いわ。今のうちに体力を回復させておかないと、町までもたなくなるわよ」
「あっ…はい。じゃあ…そうします」
カナンは強い口調で言うと、レイアを岩陰で腰掛けるように促す。
あまりにも真面目な顔で言われたので、レイアは少し恐縮そうに返事をして、言われた通りにした。
(こうでも言わないと、この子、明らかに無茶しそうだし…)
道中、レイアを間近で見ていて少しだけ彼女の事が分かった。
レイアの棍術は相当な腕前だ。
日々鍛錬していた事もあり、魔物との戦闘も俊敏に対応しているが、まだ実戦に慣れていない事もあってか、スタミナが追いつかないようだ。
しかし、他人に弱音を吐きたくない性分なのか、やたらと空元気を出そうとする。
特に、幼馴染のジュードの前では…。
このままだと、町に着く前に冗談抜きで倒れてしまう…そうなる前に、敢えてレイアに強めの口調で指示したのだ。
「カナン、お願いがあるのだが…」
「ええ、ちょっと待ってて…」
ミラの要請を聞くと、カナンは小物袋にいれていた精霊の化石を取り出す。
彼女の足に装着している医療ジンテクスに大きさ合うかどうかみてみる。
「このサイズなら…いけそうね」
「そうか…なら、すぐに取り付けてくれ」
「あっ、じゃあ僕が…」
「ジュード、君は休んでいてくれ」
ジュードがそう言いかけるが、ミラは制止させた。
「私のために、君とレイアは身体を張ってくれた。…今度は私が君達の苦労に報いたいのだよ」
「「ミラ…」」
「……俺ってもしかしなくても空気?」
ミラの言葉を聞いて、ジュードとレイアは胸がぐっとくる。
存在がスルーされている事に、デミックスは己を指さして主張するものの、やはり当事者たちの眼中に入っていないため、とほほ…とがっくりする。
「カナン…頼む」
「うん…じゃあ、いくわよ」
カナンは、医療ジンテクスに精霊の化石を押し当てる。
ジンテクスの爪が化石をしっかりととらえると、明るく輝きを放ちはじめる。
「ぐぅ…!?」
「ミラ…!」
電撃を浴びた様に、ミラの全身に痙攣がおきる。
車椅子が傾いて、ミラが前のめりに倒れそうになったのをカナンが受け止める。
ギリッと歯を食いしばり、両目を瞑るミラ。
顔からじとっ…と汗を流して、受け止めているカナンの肩をギュッと手で強く掴む。
その様子から、かなりの激痛が彼女の身に走っているのが直に伝わってくる。
「すまな…い。カナン…肩を…痛いだろ…」
「気にしないで。貴方の痛みに比べたら…全然平気よ」
津波のように襲来する痛みに苦しみながらも、ミラはカナンの肩を借りて必死に足を立たせようとする。
見兼ねたジュードとレイアも立ち上がって近づこうとするが、デミックスが二人を止める。
「ちょい待ち。様子見ろよ」
「でも…!」
「いいから…ほら、あれ」
渋るジュードに、デミックスが人差し指を指す。
その指先の方向を見ると…カナンの肩に右手をおいて、自らの足で立つミラの姿があった。
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