第6章:【青空と夜空の街】に残された手掛かり


「ねえ、さっきよりも地震が大きくなってない!?」


レイアが心配そうにジュードに話しかける。

カナンが奥へ進んで30分経過していた。

未だ戻ってこないのは…彼女の身に何かあったのだ。


「……」


ミラは黙ったまま、奥の坑道を静かに見つめている。

ジュードは解っていた。

この中で、一番心が揺れ動いているのがミラなのだと。

端からみれば、表情は冷静そのものだ。

けれども、共に旅をしてきた事で彼女の微かな『気』の変化を感じられるようになった。

ミラは案じているのだ…カナンの身を。


「…辛いな」


彼女は開口するや、その言葉を漏らす。


「…仲間が私のために命を懸けて行動しているのに、私自身は何もできない。今…この時を一番歯痒いと感じた事はない」

「ミラ…」


ギュッと両の手を拳にして、内に抱える感情…己に対する怒りと悔しさを滲ませる。

彼女のその気持ちはレイアにも伝わっており、同調を誘う。

ジュードは一旦瞼を閉じると、すぐに目を開けて口を開く。


「…僕行くよ」

「ジュード…?」

「カナンさんは『町に戻って』って言ったけど…一人だけ残して帰るなんて、やっぱりできないよ」


ジュードはナックルをはめ直すと、ミラとレイアに視線を投げかける。


「ごめん、レイア…ミラをお願い」

「ジュード、ちょ…」


レイアが呼びとめる前に、ジュードは奥へと走っていく。

彼のその行動を見て、ミラは微かに目を見開くと顔を少し俯ける。


「そうだ…。私は何を悩んでいたんだ…やるべき事は目の前にあるじゃないか」




【No pain, no gain】




迷いを振り払うようにそう唱えると、顔をあげてレイアに言った。


「レイア、いくぞ」

「えっ……どこへ?」

「決まっている。ジュードを追い掛けて、カナンのもとへだ」

「えぇ!? でも…ミラが危険な目にあったりしたら…」


強い口調で命じるミラ。

レイアはその要求に逡巡してしまう。


「…頼む。私は二人を置いて引き下がる事など出来ない。…お願いだ。レイアの力を貸してほしい!」


そんなレイアの心境を察したうえで、ミラは頭を下げて懇願した。

レイアは、彼女の熱意のこもった願いを聞いてハッとした表情になる。

刹那の間沈黙して、意を決したように小さく頷く。


「そうだね…“悩む前にまず行動”だよね!」


行こう、ミラと張りきった声でレイアは車椅子を押していく。


「…カナン、無事でいてくれ」





【つづく】

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