第6章:【青空と夜空の街】に残された手掛かり


カナン達が、フェルガナ鉱山へ向かっていた同時刻。

ガイアスは、書斎で部下からの報告を聞いていた。


「―――【13機関】か」

「謎に満ちた組織ですが、ニルスの報告によると、銀髪の男…ゼムナスを中心に、複数の構成員がいるとの事です」


ここ数か月、ア・ジュールや敵国ラ・シュガルに出没する黒いコートの人物達。

民に害を為す行為は働いていないが、両国内をこそこそと嗅ぎ回っている事から油断ならない。


「構成員の詳細は?」

「現在、確認が取れているのは男性三名。特徴は、右目に眼帯をした男と赤銅色の髪の巨漢、燃えるような赤毛の青年とのこと…」


あと…とウィンガルが補足するように言葉を続ける。


「王妃は、その組織の指導者と面識があるそうです」

「カナンと…?」


ガイアスは眉をピクリとあげて、その言葉に反応する。


「二人だけで見知らぬ言語で何やら話していたと、ニルスが申しています」

「……そうか」

「その組織、エクレシアと密接な関わりがあるかもしれません。至急調べさせましょう」


主君の考えている事を察したのか、ウィンガルはすぐに行動へ移す意志を示す。


「頼む」


すぐに了承すると、ウィンガルは頭を下げて退室した。

部下がいなくなり、ガイアスは椅子から立ち上がる。

窓辺から外界の様子を眺める…しかし、その目に見えているのは、白銀世界の外の風景ではない。

遠い異国で、いまなお旅を続けるカナンの姿を追っていた。

カラハ・シャールを旅立ち、現在ル・ロンドにいるだろう【彼女】


「……そろそろ俺も動くか」


小さく呟き、ガイアスは遠くにいる小鳥に思いを馳せる。


◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇


ミラを乗せた車椅子を押して、人通りの少なくなった市街地の道を進む。


「みんな、こっちこっち!」


ボルテア森道へ続く出入り口で、レイアが待っていた。

足元には大きな袋が置かれている。


「レイアちゃん、これは…?」

「つるはしとか角灯(ランタン)とか、家にあった採掘道具一式です! あっ、勿論みんなの分も用意したから安心して!」


念のために聞いてみると、レイアが張りきった声で答えてくれた。


「…本当についてくる気なんだ」

「当たり前でしょ! 最近は魔物が町の傍でもうろついてて物騒なんだよね…。でも安心して。遭遇しても私がやっつけるから!」


さあ、はりきっていこう! とレイアは袋の中から棍(こん)を取り出して、袋を背負って歩き出す。

ジュードははぁ、と溜息を洩らすと車椅子を引いて進む。

カナンも、彼等の後に続く様に歩を進めようとした。



―――ざわッ…


「えっ…?」


すると、夜風が吹いてきて、カナンの耳元にある情報をもたらした。


《さっき、男の人が赤い服の女の子に追われて、鉱山の方へいったよ。あなたもそこに行くなら気をつけてね》

「…男の人が…女の子に?」


「カナンさん、いきますよ」


ジュードの呼びかけに、カナンはハッと振り返り、「解ったわ」と返事すると急ぎ足で歩きだした。



17/90ページ
スキ