第6章:【青空と夜空の街】に残された手掛かり


「チッ…あの女…」


宿屋の隣の家宅の屋根から、調理場の窓をのぞく二つの人影。


「陛下と言う方がありながら…あんなちゃらけた野郎と逢引しやがって!」

「アグリア…あれは違うと思う」


ブツブツと呟くアグリア。

デミックスがカナンに抱きつく場面を目にしてしまい、苛立ちを露わにしている。

だが、ニルスから言わせてもらえば…あれは男性が慣れ慣れしく抱きついてきたように見えた。

それよりも、あの黒いコート…カラハ・シャールで遭遇した銀髪の男性と同じ服装である。

アグリアが、探している【集団】の一人に間違いなさそうだ。


「あいつ…今に見ていろ。あのだせぇ髪型を黒こげにして陛下の御膳にだしてやる!」

「…いやいや、それやったら、逆にガイアス王が卒倒するよ」


当の本人は、命令よりも如何にしてカナンに一泡吹かせようかで頭がいっぱいだ。

ニルスは思った。

アグリアをどうにかして、本来の任務へ目を向けせなければ、本末転倒になってしまうと。


「アグリア…」

「ああ”ッ!?」

「カナン…王妃に慣れ慣れしく抱きついている男なんだが…」

「あのチャラ男がなんだよ!?」


唾を吐きかけるように、アグリアが怒鳴る。


「あの男…今、君が追っている黒いコートの組織の関係者じゃないか?」


ニルスが言った事に、アグリアはパッとその人物へ視線を移す。


「あの男が…? 確かに、ウィンガルの言ってた特徴に似てやがるが…」

「あの服装をした他の人物を、カラハ・シャールで何名か目撃した。間違いない…」




【偶然(?)の再会】




「ただいま戻りました…っと」


アルヴィンがそろ~と宿屋の扉を開けて、小声で声を出す。

首を左右に振って、ソニアがいない事を確認すると…忍び足で食堂へ足を運ぶ。

挨拶回りをしていき、その際に馴染みのある友数名とも再会して、昔話で盛り上がった。

そのために、予想以上に時間がかかってしまい、昼食時間も大幅に過ぎていた。


「…ウォーロックさん、すんませーん」

「おっ、アルフレド君! おかえり」

「腹減ったんで、残り物でもいいんで、何か食事作ってもらえます…か…?」


アルヴィンは目が点になった。

食堂のテーブルに沢山並ぶ料理の数々。

椅子に腰を落ち着けて、スープを味わうカナン。

…と、彼女の向かい側で、モグモグと口一杯に食事を堪能する黒い衣装の青年。


「おかえり、アルヴィンさん」

「あっ…うん…ただいま」


「ふはへふぃ、ふぉふぁふぁふぁふぁん(おかえり、お仲間さん)」

「…あんた誰?」


あまりにもシュールな光景に、アルヴィンは呆然としてしまう。

カナンに「おかえり」と言われて、反射的に返事をする…と同時に、声を掛けられた見知らぬ男性に突っ込みがてら言葉を返した。





【つづく】

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