第6章:【青空と夜空の街】に残された手掛かり


「ねぇ、【ル・ロンド】ってどういう所なの?」


カラハ・シャールを出発して街道を移動している最中、カナンが尋ねてみた。

ル・ロンドは、アルヴィンの知人である医師がいる町の名前だ。


「ああ~、一言でいえばのんびりした所かな」

「普通の田舎町だよ。昔は鉱山で栄えていた時もあったけどね」


アルヴィンが答えると、補足するようにジュードが説明してくれた。


「詳しいのね、ジュード君」

「うん、詳しいと言うか…」


ジュードは視線を上に逸らして言葉を濁す。


「ル・ロンドは、ジュードの故郷らしいぞ」


代わりに、馬に乗っているミラが答えてくれた。

まさか、ミラに言われるとは思わなかったのか、不意打ちを食らったような表情で、ジュードが再び口を開いた。


「…まさか、こういう形で帰るとは思っていなかったんだ」

「俺もだ…仕事であそこに戻るとはなー」


アルヴィンが面倒くさそうに後頭部を掻く。

彼の言葉を聞いて「ん…?」と不思議そうにカナンが尋ねた。


「アルヴィンさん、その口ぶりだと…もしかしてル・ロンドに住んでいた事があるの?」

「…ご名答、と言っても暮らしていたのは数年ぐらいだけどな」


両腕を頭に回して、苦笑いしながら答えるアルヴィン。


「そうだったんだ。でも、僕は見かけた事がないけど…」


ジュードは、こめかみに指を当てて記憶をたどろうとしているが、思いだせない。


「そりゃ、俺がいたのは12年前だからな。覚えていなくて当然だ」

「僕が2,3歳頃か~。確かに…その頃の記憶ってあんまりないね」


アルヴィンとジュードが話していると、その途中でミラが会話に入ってきた。


「人間には親がいるだろう。ジュードと両親は似ているのか?」

「…どうかな…」


ミラの質問に対して、ジュードはあまり答えたくない感じだ。


「父さんと母さんも仕事一筋で…ちょっと苦手なんだ」


カナンは、寂しそうな表情のジュードを横目で見る。


「ふむ、本で読んだぞ。ファザコン、マザコンというやつだな」

「ミラ、それ違うから」


ミラの発言に、カナンはすかさず訂正を入れる。


「では、骨肉のドロ沼の争いの方か」

「そうそう、親族内で遺産をめぐる壮絶なる争いが…って、どこのお昼のドラマなの! そんなドロドロな展開見たくないわよ!」


どういう本読んでるの、とカナンはビシッと利き手で叩く様に突っ込む。


「ミラの読む本のチョイスしている奴は、絶対あの巫子だよな。…っていうか、お昼のドラマって何なんだよ?」

「ハハハ…」


ミラとカナンの漫才風景を見ながら、アルヴィンがボソリと呟く。

ジュードは、微妙な表情で笑うしかなかった。



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