第5章:行く手を阻むモノ


「ドロッセルのお兄さん……危ないんですか?」

「ええ、凄くまずい状況に置かれているみたい」


エリーゼが心配そうに尋ねると、カナンは気難しそうに言葉を返す。

ローエンは、カナン達に深々と頭を下げた。


「どうか皆さんのお力を貸していただけないでしょうか? 旦那さまをお助けしたいのです」


「分かりました。ミラ、行きましょう」

「ああ、ナハティガルの企み見過ごすわけにはいかない」


カナンの言葉に、ミラは迷う事無く首を縦に振る。


「僕も賛成だよ。それに…連れていかれた他の人達も助けてあげたい」

「私も…いきます!」

『よーし、救出大作戦…開始だぁ~!』


「やれやれ…皆、お人好しに火がついちまったか」


ジュードとエリーゼ、ティポも賛同する。

アルヴィンは溜息を洩らすが、反対する意思はなさそうだ。


「皆さん、ありがとうございます…!」


ローエンは再び深々と頭を下げて御礼を言った。


「場所は分かるのか?」

「はい。民が連れ去られた先は、街の南西にある【バーミア峡谷】です。急ぎましょう!」


こうして、ローエンの案内により、カナン達はバーミア峡谷へ向かった。




【一致団結と救出依頼】




同時刻、ラ・シュガルの領地であるル・ロンドから離れたボルテア森道に、13機関の二人…マールーシャとラクシーヌがいた。


「ロクサスの奴、遅いわね…街で道草してるんじゃないでしょうね」

「まだ、行ってから10分しか経っていないぞ」


マールーシャは苦笑しながら、苛立つラクシーヌを宥める。

その時…彼らの前に闇の回廊が開かれる。

そこから出てきたのは…シオンだった。


「シオン…?」

「はぁ…はぁ…」

「どうしたの? やけに息切れしてるけど…」


ラクシーヌが訝しげに問うと、シオンが顔をあげる。

瞳からうるうると涙が零れ落ちる彼女に、ラクシーヌはギョッとする。


「ちょっと…何泣いてんのよ!」

「どうしよう…どうしようぅうう…」

「ラクシーヌ、落ち着け。シオン…何があったか話してくれるか?」


マールーシャが、シオンの背中を擦りながら言うと、シオンは嗚咽をあげながら唇を動かす。


「アンジールさん…アンジールさんが…」


ギュッと握りしめていた両手を解放した。

シオンの掌にある…コスモオーラに似た六角柱状の宝石。


「これは……!」


マールーシャは目を見開く。

まさか、とラクシーヌは口元を手で覆う。


「…うわあああんッ」


零れ落ちる涙が、宝石にぽたりぽたりと落ちる。

彼女の涙に反応するように、その宝石の奥底に微かな光が灯った。





【つづく】

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