第4章:始まりは夜光の都…精霊の主に誘われて


「成程…君は『エクレシア』だったのか」


カナンは、自分の素性を含めて今までのいきさつを語った。

ガイアスの事は勿論、『カオス・クオーツ』である天敵の件も含めて。

それら事情を聞いたうえで、ミラは上記の言葉を呟いた。


「驚きましたか?」

「ああ…この目で『エクレシア』をみるのは初めてだ」


ミラは、興味深そうにこちらを見つめてくる。


『まさか…【カオス・クオーツ】まできてるだなんて…前代未聞でし! 緊急事態でし~!』


のんびりと、自分のペースを崩さないノームが忙しなくなっている。

それだけ、“ヴァンス”という破壊神は世界規模の危険レベルな存在なのだと、ミラは感じた。


「君の使命は…『ヴァンス』と言う男を倒す事なのだな」

「ええ、それもあります。でも…まずは、仲間を助けなくてはなりません」


ヴァンス討伐もそうだが、その前に囚われの身となった普賢を救出したい。

まだ、燃料化していないといっても、いつか戦争が勃発すれば、ラ・シュガル側が【クルスニクの槍】を使用してしまう。

そうなれば、大精霊共に普賢自身も存在が危うくなる事は確実だ。


「改めてお願いします。この先の旅に同行する事をお許しいただけますでしょうか? マクスウェル様」


カナンは、礼儀正しく頭を下げて許可を求めた。

ミラは、再び『クルスニクの槍』を破壊するためにイル・ファンへ向かうはずだ。

普賢救出のためにも、彼女と共に行動をした方がいい。

また、ラ・シュガル側でイタチが何か関わりを持っているのも気にかかる。

その延長に…ヴァンスがいる事は違いない。


「…分かった。君の為すべき事は、私の使命とも重なる所がある。共に、イル・ファンへ行こう」


ミラは嫌な顔をするどころか、快く許可してくれた。


「…ありがとうございます」


彼女が協力してくれる事になり、ホッと安堵の息を漏らした。

すると、ミラが次にある事を言いだした。


「ところで、カナン…君にお願いがあるのだが…」

「なんですか?」

「君が嫌なら構わないが…できれば堅苦しい口調はやめてくれないか?」


突然の申し出に、カナンは「えっ?」と目を瞬きさせる。


「人間とは親しくなれば、お互いに名を呼び捨てで言いあうだろう。ジュードやアルヴィンもそうだ。けれど…君は敬称をつけている」

「でも、ミラさんは精霊の主で目上の方にあたりますから…」

「私はそういう事にはこだわらない。君とは共に使命を果たす者同士であり、『仲間』であるはずだ。何ら支障がないと思うが?」


不思議そうに言い返してくるミラ。

カナンはうーん…と困りながら、ノームに視線がいってしまう。


『構わないでしよ。僕もミラを【ミラ】と呼んでるでし。だから、カナンもミラを【ミラ】と呼ぶでしよ』

「…分かったわ、じゃあ…“ミラ”。今後ともよろしくね」

「ああ、こちらこそ」


笑いながら、互いに握手をする二人。

この事で、ミラとの距離が大分縮んだ―――カナンはそう思った。





【つづく】

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