第4章:始まりは夜光の都…精霊の主に誘われて
長い階段を昇ると、そこに社はあった。
清浄な空気に満ちた空間に、カナンは目を閉じてすぅーと息を吸い込む。
(気持ちいい…おいしい空気)
全身を綺麗に浄化してくれる感覚だ。
ニ・アケリアの村はどこか浮世離れした感じだったが、この社周辺は一種の神聖な領域なのだと思った。
ミラが、社内に三人を招き入れてくれた。
「何もない所だな。退屈じゃないか?」
「私の使命においては何の問題もない」
広間をみて、アルヴィンは呟いた事に、ミラはあっさりと答えを返す。
彼の言う様に、生活感があるとはいえない空間だ。
窓から差し込む光と松明を光源としているのか、ほのかに薄暗い。
外界からほぼ遮断された静寂かつ悠久じみた雰囲気は、仏像や仏堂のある寺院に似ている。
彼女が此処で“暮らしている”…というよりも、神仏として“祀られている”色合いが強いみたいだ。
「さあ、儀式を始めよう」
部屋の中心に、カナン達はそれぞれ四つの世精石を設置した。
ミラがその間に胡坐をかき、宙に召喚法陣を描く。
置かれていた赤・青・緑・黄色の世精石がほんのりと光を放ちはじめる。
徐々に光が強さを増していき、一瞬辺りがまっ白に包まれて視界が遮られる。
―――バキ、バキッ
その直後、何かが砕ける鋭い音がした。
一瞬、何事かと閉じた目を少しずつ開けていくと…
「……ハァ、ハァ」
「ミラ!」
部屋の床に手をついて息切れをするミラに駆け寄るジュードがみえた。
一方、四つの内三つの世精石が、無残にも破片となって飛び散っていた。
しかし…唯一、黄色の世精石だけが残り、そこから夥しい光が宙へ浮かんでいく。
「…なんだありゃ…!」
アルヴィンが極限に目を見開き、指をさすその方向へカナンも視線を移す。
浮かびあがった黄色の光が徐々に形をなしていく…そして―――
『ミラ…でしか?』
球体に乗った小動物らしき生命体―――大精霊になった。
「…ッ! ノームか…」
「…あの時の…召喚が成功したんだね!?」
ミラは足をあげようとするがふらついてしまい、ジュードが肩を支えて立ち上がる。
「マジか…この目で大精霊を拝めるなんてよ」
アルヴィンは目を擦りながらも、召喚された地の大精霊をマジマジと見つめる。
カナンは、視線を床に散らばった砕けた世精石に向けた。
「他の大精霊は…呼び出せなかったみたいね」
「……そのようだ」
そう、ノーム以外の他の大精霊は…召喚できなかった。
ノームとの再会に安堵しつつも、その現実を直視してミラは少し沈んだ表情を浮かべる。
「ノーム…聞きたい事があるのだが…」
ミラが早速、ノームに問いただそうとしたまさにその時―――
「ミラ様――――!!」
一人の若者が扉を盛大に音を立てて開いて、飛び込んできた。
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