【4】健康診断はいろんな出逢いがいっぱい!
ファントムの思考が納得できる結論に達した頃には、既にリエはキッチンで食器洗いをしていた。
すっかり長く考え込んでいた…。
リエの手伝いをするために、椅子から立ち上がろうとしたその時…シグバールが「よっ」と声をかけてきた。
「どうしたんだ? シグのおっさん」
「いやよ…ちょいとウサギ仮面の件でアドバイスしておいた方がいいと思ってよ」
意外だ。
おっさん直々のアドバイスとは…過去にリーシェ先生と何かトラぶったのだろうか。
「いーか。絶対にウサギ仮面の前では、『思い出話』とかすんなよ…。あとボス関連の話題は振るな。以上だ」
「…『思い出話』と総長の話題?」
後者はなんとなく察しはつくが、前者の懐かしい過去バナがNGなのは相当の理由があるのか…。
「ファントム!」
話している最中に、デミ助が会話に参戦してきた。
「あのさ…俺ホッとしてるんだ。ファントムが無事でよかった~」
「どうしたんだよ、いくらなんでもオーバーすぎるっしょ、そのリアクション」
「…マールーシャみたいにバレて『恐怖の御仕置き』されたりとか…五体満足でいられるかどうか…うぅ、マジで無事でよかったよ―――!」
なぞはすべて解けた!
バラ侯爵の体調の急変の原因は、リーシェ先生だった事が証明された(ほぼ確信してたけど)。
その『恐怖の御仕置き』とやらをされる程、あのバラはとんでもない事をしでかしたのか…。
っていーか、五体満足でいれるか…無事生還してよかった、とかどこのホラー映画なんだよと言いたい。
…やばい、リーシェ先生の印象がまた変わってしまいそうだ。
折角、これからの指針がまとまっていたのに…おっさんとデミ助がご丁寧に恐怖印象を植え付けてくれたおかげで、
すっかり、リーシェ先生の見る視点が変わっちゃいました。
「…うん、仲良くなれるはずさ。きっとね、うん」
未だに半泣き状態のデミックスと、傍らで生温かい目で見つめているシグバール。
二人をよそに、ファントムは遠い目をしながらそう呟いた―――期待と願望を込めて。
灰色の青年の願いが、正夢の如く叶ったかどうかは…また別のお話で。
【おわり】
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