【4】健康診断はいろんな出逢いがいっぱい!


仮面先生についていき、通されたのが第2病棟から少し離れた第3病棟だ。

第2病棟は小児科・内科の領域だったが、こちらは外科・産婦人科の部局中心の様だ(扉のプレートにそう表記されていた)。

通りゆく廊下では、お腹が大きい女性の方々やまだ生まれて日が経っていない赤ちゃんが眠る新生児室をみかけた。


(おぉー、可愛い赤ちゃんがスヤスヤと…)


ファントムは、窓から見える新生児室の赤ちゃんの面々を目にして顔が綻んだ。

それに気付いた仮面先生は、急がせる発言はせず同じく立ち止まる。


「昨日生まれた赤ちゃんは男女を含めて5人でした。母子ともに何の問題もなく健康。帝王切開なく自然分娩でしたよ」

「へぇー」


「そんなに驚くべき事でもないような…時間ある時は、赤ちゃん見たり産婦人科でお母さん方の相談にのっているじゃないですか」


仮面先生が、ん?と訝しそうな声を出して言葉を返してきた。

「やばっ!」と感じたファントムは慌てて弁解した。


「あの…久しぶりに此処に来たからついね」

「あー、そういえばあの『組織』にいますからね…あの指導者のね」


最後の部分を怒を含んだ口調で言った先生。

…ファントムはこの時、感じ取った。


(あー、この先生…13機関をあまりよく思っていないんだ。明らかに総長に嫌悪感むき出しだ。総長…何やったんだよぉおおお!)


この場にいない、我らが総長ことゼムナスに文句を内心ブツブツ言いまくった。

診察室に招かれて椅子に座ると、先生がレントゲン写真をとりだして説明を始めた。


「この間のマンモグラフィー検診ですが…」

「(マンモグラフィーって何だったか…えっとー)は、はい!」


「こちらとこちら…左右それぞれ撮影方向を変えて2枚ずつ撮影しましたが、診断の結果は、異常なしです」

「(ああ…胸の検査か。……うん、異常なくてよかった)」


「次に血液検査の結果です、これも問題はありませんでした」

「はい(リエさん、健康面大丈夫そうだ。機関は結構多忙なスケジュールだからいつ倒れるか分かんないから…よかったよかった)」


「それから妊娠診断の結果ですけど…」

「はい、妊娠の結果ですね~……ってはい?」


「診断の結果は単なる過労でした。この間の症状はそれによるめまいと貧血だったんですよ」

「ああ…そうですか」


にんしん、ニンシン? 妊娠!?

…といっても結果は全く違ったみたいだけど…リエ奥さま、旅路中に何かあったの!?

あっ、そういえばここ産婦人科だった。

考えてみれば、こういうフラグになるのは必然だろう…俺とした事が盲点だった。


「いや~、父さんに一時的に捕えられてしまったと聞いて、こちらにきた時はどうなったんだと胸躍りましたけど、残念でしたね」

「あ、いや…あはははは……えっ、父さん…?」


「ま、母さんもこれから徐々に父さんと仲睦まじく。あの指導者と薔薇侯爵は、私と姉さんで牽制しておきますから」


フフフッと笑い声を漏らす仮面先生。

仮面で表情は見えないが、おそらくニヤリと意味深気な笑みを浮かべているのだと想像できるのは容易かった。



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