【4】健康診断はいろんな出逢いがいっぱい!


「…いつになったら戻るんだ」


こめかみに青筋を立てたサイクスが、座席から見下ろすように二人に厳しい口調で言う。


「うーん、こればっかりは自然の流れに任せねーといけませんよ」

「すみません…」


「まあ、任務に支障をきたさなければいい。とりあえず、明日からの任務は…」


もはや、精神交代なんぞ気にしなくなった。

初めは物珍しい現象でも、定期的に目にしていけば、天気予報で明日の天気が雨で傘持ってなくてもさして問題なし!

サイクス、ルクソード、レクセウス及び少年少女組はその程度の感覚になっているのだ。

慣れとは恐ろしいものである。


だが、現実的にこの現象を受け入れ難いと思っているメンバーの方が半数を占めている。

特に、音楽青年と薔薇侯爵と我らが指導者の三名は顕著に。

当の張本人達は至って冷静だ。


「ファントムさん、またご迷惑をおかけしますが…」

「いいって、いいって。リエ奥さま。こんなのモーマンタイです」


(はぁ…僕らからしてみれば早く戻ってほしいのですが)

(頼むから、これ以上精神攻撃やめてほしいわ)

(今度こそ、今度こそ、この現象対策の特効薬をつくりあげてみせる!)


そんな能天気な二人の会話を聞きながら、外野のメンバー達は心中で、ため息交じりの心の叫びをしていた…。


「あっ!」


すると…次の瞬間、ファントムの姿のリエが思い出したかのように声をあげた。


「どうしたの? リエ奥さま」

「いえ…その…忘れていた事がありまして」


「なになになに!? リエりん、何思いだしたの! やばいこと!」


便乗してデミックスが騒ぎたてる事に、ザルディンは癇に障ったのか、槍を一本投げた。

顔スレスレに槍は突き刺さり、デミックスは顔面を蒼白させて黙りこんだ。

代わりに、紳士なギャンブラーことルクソードが訊いた。


「どうしたんだい? リエ君」

「あのですね…数日後に健康診断にいく予定がありまして」


「へっ、健康診断?」

「はい、もう予約をしていまして…」


なんだそんな事か…と思うだろうが、忘れてはいけない。

現在、リエの身体が…そしてファントムの身体がどうなっているのかを。


「「「ぁあああああ!」」」

「こうなった場合、ファントムさんに行ってもらう事になりますね…」


事の重大さを徐々に認識して、ファントム及び男性メンバー半数が驚愕の声を大合唱した。


「なんで問題があるの?」

「あー、まあ男女の身体面の違いってやつよ」


何故、周囲がアタフタしているのか今一つ分かっていないシオン。

ラクシーヌは額を手で抑えながら、面倒くさそうに説明した。



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