【3】独創Girlはチャレンジャー☆



数時間後、【旅立ちの地】へ帰宅したクルミは、稽古場で遠い目をしながら窓を見ている。

リエは、夫と話し合う事が出来たため、エラクゥス達に挨拶をした後、予定よりも早めに、城から旅立っていった。


「どうした? クルミ」


クルミがいつもと異なり、不気味な位に静かな事を不思議に思い、テラが心配そうに声をかけた。

その声にピクッと反応して、振り返るクルミ。


「おっ…テラさんですか。今日はいい天気ですな~」

「…まるで、高齢者が縁側で、知人に挨拶するみたいな言い方だな…。何か悩みでもあるのか?」


目尻を下げて、子どもを優しく諭すように、肩をポンポンと叩きながら尋ねると、クルミは、元気が出たのか

少しずつ、いつもの調子を取り戻し、テラに話しかける。



「…うん、あのさ…世の中、複雑だよね~。不思議癒し系の天女様は、鬼畜な帝王様のハードなプレイにもめげずに、相思相愛でいらっしゃる」

「……よく分からないが、その女性は大変な立場に居るのか」


「うん、しかもその帝王様は、すっごくテライケメンなのに、反比例して俺様+知的なんだよ…。起こらせると恐いし…ある意味、厄介この上ないね」

「…その帝王に、何か言われたのか?」



眉を顰めながら、テラは少し怒を含む声音で、質問を投げかけてきた。

もしかして…嫉妬していらっしゃるの?



「…テラ、安心して! 私はあくまでテラ一筋さ! 帝王様が説明したのは、まとめれば、奥様との砂吐く位のラヴラヴな日常話だっただけだよ!

だから、私個人はなんとも思っていないさ。さあ、この胸に飛び込んでおいで!」



クルミは両手を広げて、満面の笑顔でテラを待ち構える。

…だが、テラはハァと息を漏らすと、ツカツカと歩み寄り、彼女の頭にコツンと優しめに頭を叩く。


「まったく…調子に乗るな」

「アハハハ……テヘ☆」


まあ…なんだかんだでこの三日間は、色々と大変だったけど、意外と新鮮な体験ができました。

そういえば、リエさんが別れ際にこう言っていたな…。



『クルミさん、テラさんを守ってあげてね。テラさんにとって、貴方は【光】だから…』



【光】ですか…。

なんとも、臭い台詞だけど、リエさんの場合は爽やかに似合うから許します!

うん…! 例え、【旅立ちの地】が壊れようとも、ジジノートが何かよからぬ仕掛けようとも、私はいつでもテラを守る気満々ですよ!


もちろん、マイエンジェル二人とマスターも! ヴァニタスは…考えておこう。

さーて、気分転換に、アクアのたわわに実った桃を…今日は眺めるだけにしておこう。


…それにしても、謎がひとつ残ったな…。



「あのさ、テラ…【キーホルダー】って意志を持つ物もあるのかな?」

「…? いや、聞いた事がないが…」


「そうだよね~、アハハー」



結局、あの二つのキーホルダーは何だったのだろうか…。

真相が、深い闇の中に埋もれてしまった…。

まあ、いいか!





【おわり】

10/10ページ
スキ