【1】巡り会えた【希望の光】、つながりあう【心】と【想い】



――私は、あの不思議な出来事を忘れない…


クロスは、機関の任務でトワイライトタウンを訪れていた。

ダスクからの情報で最近、トワイライトタウンで次元の歪みが生じているらしい。

その原因を突き止めるために、ロクサスとアクセル、シオンと共に調査しに来たのだ。


『二手に分かれて捜索するぞ』


途中でアクセルの提案で、二人ずつペアを組んで手分けして調査する事になった。


アクセルとロクサス……

クロスとシオン……


アクセル達が、町はずれの森やトラム広場付近へ行き、クロスとシオンは駅前広場の周辺をくまなく調べていく。

セントラルステーションから闇の回廊で、サンセットヒル住宅街に足を運んだ時だった。


「見つからないね…次元の歪みなんて」

「そうだね」

「もしかして、ダスクの勘違い…はないよね」


二人は会話をしながら、住宅街の坂を上がっていき、そのままサンセットヒルまで辿り着く。


「少し休まない? クロス」

「そうだね、あそこのベンチで休もうか」


二人はベンチに座り、疲れた足を休ませる。

クロスは背伸びをしながらリラックスして、シオンは夕陽の光により、暁色に染まる遠くに見える海を眺めている。

海の水飛沫が太陽の光を反射して、キラキラと宝石の様な輝きを放っている。


「此処から見る風景…私、好きなんだ」

「あたしも好き。任務じゃなかったら、ゆっくり見れるんだけどな~」


「その任務が終わっていないのに、ゆっくりしているのはどこのどいつだ~?」


ふと聞き覚えのある声がして、その方向を見ると眉を顰めたアクセルが立っていた。


「あっ、アクセル」

「お前らな~、なんで先に休んでいるんだよ……」

「ちょっと、疲れちゃって…」


シオンが苦笑しながら、アクセルに弁解を言う。

アクセルは、どこか呆れた表情で「やれやれ」と息を吐く。

クロスはそんなアクセルに質問を返す。


「そういうアクセル達はどうだったの?」

「こっちの方は見つからなかった…。念のためにロクサスが森を調べているけどな…」


「大丈夫かな…ロクサス。この任務、無事に終わるのかな?」


シオンの不安げそうな声に、クロスは彼女の肩をポンポンとたたく。


「シオン、大丈夫だよ! ロクサスは強いから! それにもしもの事があれば、私達がシオンを守ってあげるから!」

「うん…ありがとう」


クロスの励ましにシオンは少し落ち着いた表情になる。


「はぁ…闇雲に捜査しても埒が明かないな。一旦駅まで戻ってロクサスと合流するぞ」


アクセルが、頭を掻きながら言った事にクロスとシオンは首を縦に振る。


「ほらっ、行くぞ…二人とも」

「行こうか、クロス」

「うん!」


先にベンチから立ち上がったシオンが、クロスに手を差し伸べる。

クロスは、その手を取ろうとした次の瞬間……


『……クロス、気を付けて』


突如耳に入ってきた声に、思わずクロスは後ろを振り向く。


「……誰? あれっ…」


その時、周りの光景にある違和感を感じた。

空で羽ばたいている鳩…

だが、鳩は羽ばたいている状態で硬直しており、それ以上前に進んでいない。


それだけではない…

クロスが急いでシオン達の方に視線を戻すと、シオンやアクセルも彫刻のようにピタリと動かない


「ウソ…止まっている…!」


そう…クロス以外のすべてのモノの時間が止まっているのだ。

言い様のない不安と恐怖に、クロスは身体を守る様に自らの腕で抱きしめる。


その瞬間……クロスは足を何かで掴まれる感覚を覚えた。

パッと下を見ると地面から底無し沼の様な黒紫色の歪みが姿を現して、彼女の足を捕らえていたのだ。


「なっ…きゃぁああ!!」


クロスはそのまま次元の歪みの落とし穴に、凄いスピードで落ちていった。

クロスの姿が消した直後、魔法が解けたように時計台の針がカチリカチリと動き出す。


「クロス……?」


シオンは、自分の目の前にいたはずのクロスがいない事に眼を見開く。

アクセルも同様に驚きを隠せない。

そんな二人を嘲笑うかの如く、歪みはその痕跡を残す事もなく、消え去っていた。


―――クロスの持ち歩いていた、大事な『もの』を入れたポーチだけを残して…



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