【6】記念小説集



ふーちゃんはご機嫌です。

只今、公園のベンチでお菓子を食べています。

お菓子は赤ちゃん用のクッキー。

さっきのおじさんが「食べろ」と言ってプレゼントしてくれたのです。


「うまみー♪」


ベンチのすぐ下では、マコが地面に置かれた小魚をもしゃもしゃと味わっています。


「おいしぃ?」

「にゃあー♪」


マコも気分が上々。

美味しい小魚を食べる事が出来て、幸せいっぱいです。


ふーちゃん達から多少離れた所に、さっきのおじさんがいます。

ふぅーと口から煙をふいています、あれは大人のアイテムの「たばこ」というものです。

おじさんは「たばこ」が好きなようです。


ふーちゃんは「たばこ」をふく大人は、久しぶりに見ます。

ふーちゃんの周りの大人は、「たばこ」をふく人がほとんどいないのです。

友達のくーちゃんのママが『健康によくないから』と、くーちゃんのママのお店でも「たばこ」をふかないようにとルールがあります。

あのおじさんは、「たばこ」をふいていますが、大丈夫なのでしょうか?


ふーちゃんがクッキーを食べながら、おじさんを見ていると…別の黒い服のおじさんがやってきました。

大きな体の黒いメガネをかけたおじさんです。


「兄貴…変装して適当に情報流しときました」

「ご苦労。先に戻ってろ」


おじさん達がお話しています。

小声ですが、ふーちゃんの耳はとってもいいので聞こえてきます。

でも、内容が難しくていまいち何を言ってるのか理解しづらいです。

黒いメガネのおじさんが帰った後、銀髪のおじさんがこっちに近づいてきました。


「なーに?」

「…この猫と此処にいろ」

「ふぅー?」

「すぐに迎えに来るはずだ、お前と…『マコ』を」


おじさんはそう言って、ふーちゃんの頭を軽く撫でるとどこかへ行ってしまいました。

おじさんは一体何がしたかったのでしょう?

でも、ふーちゃんにも分かる事はあります。

あのおじさんがウソは言っていない、と。


「おろーね(此処にいようね)」

「にゃー!」



*** ***** ***



その頃、向日葵とシオンは商店街付近で調査していた。


 ~♪♪♪ ~♪♪♪


「電話…あっ!」


向日葵が持っていた携帯から着信があり、見てみると…蘭の名前が表示されていた。


「もしもし?」

『もしもし、向日葵ちゃん。例の迷子になっている子の件だけど…』

「え、本当ですか!」


傍らにいるシオンはそのやり取りを見ながら、もしかして…と瞳に希望が宿る。

向日葵がピッと携帯の通信をオフにすると、シオンへ笑いかける。


「ふーちゃん、見つかったよ!」

「やった!」

「此処からちょっと離れた公園にいるんだって、急ごう!」


向日葵の言葉に、シオンは大きく頷く。

二人がその目的地へ駆けて行った一方、正反対の方向にいた…揚羽と花宮は歩いている途中、すれ違う主婦達の話に立ち止まった。


「すみません! 黒い仔猫と白い猫の服の赤ちゃんを見たって…」

「ええ、さっき公園で見かけたわよ」

「ありがとうございます! 真…」

「走るぞ」


揚羽と花宮もまた、愛猫と迷子がいるだろうその公園へと足を進めた。



*** ***** ***



ふーちゃんはクッキーを食べ終えると、公園のベンチでお昼寝していました。

スヤスヤと眠るふーちゃん。

お日様の光が、ほどよく降り注いでとっても気持ちいい場所です。

すると、同じく目を閉じて寝ていたマコがぱちりと目を開けました。


「ナァー!」

「…むぅ、にゃに…?」


マコのぷにぷにした肉球が、ふーちゃんの頬をぽふぽふと押し当てます。

目覚めたふーちゃんは、ふぁーと欠伸をしながらマコに目を向けます。


「どしたん?」

「にゃー」


マコをお腹をよしよしと触りながら、ふーちゃんはマコに尋ねます。

マコは気持ちよさげに目を細めて、何か言おうとしたその時でした。



「「ふーちゃーん!」」

「まーこー!」「でてこーい」


ふーちゃんとマコの名前と呼ぶ声が聞こえました。

ふーちゃんは右の方角を、マコは左の方角を見ます。

その先には、ふーちゃんのお友達と、マコの家族の姿がありました。




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