【5】プレゼントはサプライズ的に!


数秒の間をおいて、画面にある人物が登場した。


「あ、ジュード君」

『カナンさん、こんにちは…と言っても、そっちが昼なのか分からないよね。お久しぶりです。お元気ですか?』


その人物は、つい最近まで旅していた時に一緒だった仲間だ。

ジュード・マティス。

彼は諸事情で国家機密をみてしまい、学校を除籍されてしまっていたが、現リーゼ・マクシア王と宰相の助力で復学できた。

この間、無事卒業して、次世代のエネルギーの開発をするためにエレンピオスの研究施設で働く事になったばかりだ。


『えっと…僕は、社会人になるから心機一転のためにちょっとイメージチェンジしてみました…髪型とか、服装とか…似合ってるか分からないけど』


少し照れくさそうに言うジュード。

確かに、髪型と服装はエレンピオスの現代風の若者のようになっている。


「ふふ、似合ってるわよ」


ビデオレターと分かっていても、カナンはそこにいる感じで話しかけてしまう。


『…まだまだ、手探りの状態だけど、きっと源霊匣(オリジン)を完成させます。遅くなりましたけど、誕生日おめでとうございます』


あれ、とカナンは首を傾げる。

ジュードに誕生日を教えた覚えはない。

何故、彼はその事を知っているんだろう?

すると、場面がイル・ファンの夜の街から、エレンピオスのトリグラフになった。

人工的な街の公園に、またしても見覚えのある女の子の姿が…


「レイアちゃん?」

『ヤッホー! カナンさん。久しぶり!』


明るく笑顔で手を振るレイア。

この子は相変わらずだな…とカナンは柔らかく笑みを浮かべる。


『実は、私……就職しました! じゃーん、この服装何に見えると思う? なんと…新聞記者見習いになりました!』


レイアは以前、ジュードの実家の看護師だったが、本当に自分がやりたい事を見つけるため、その職を辞めてしまった。

黒いキャスケット帽と黄色いスーツと膝までのパンツ姿。

どうして、画面のレイアは、新聞記者を目指す事になったのか、話そうとしたが…


『ごめんね、レイアちゃん。時間の関係もあるから、また今度にしてもらえるかな』

『えっ…あ、そうですか…アハハ。じゃあ、その理由は改めて話すから! カナンさん、またね!』


あまりにも長くなりそうだったため、普賢が間で注文すると、レイアは大急ぎで早口で話を終わらせた。


「ふふっ…やっぱり変わってないわね」


とカナンは和やかにその映像を見る。



『よっ、雇い主様。元気してるか~?』


今度は、アルヴィンが登場した。

お、きたか…とカナンは逆に納得した。

この時点で、彼女はある仮説を立てていた。

このビデオレター……かつての仲間達が順々にでてくるに違いない、と。


『今日の俺は、こいつとエレンピオスの市場視察してるとこでーす! ほら、ユルゲンスもなんか言えよ』

『お、王妃様…こ、このたびはび、ビデオレターに参加させていただきました…。ほ、本日はお日柄もよく…』

『ユルゲンス、噛みすぎ! てか、結婚式の仲人かよ、それ!』


アルヴィンは、傭兵から商人に転職して、新たなビジネスを開拓しようとしている最中だ。

そのパートナーのキタル族のユルゲンスは、緊張してカナンへのメッセージを言うのにたじたじ。

そんな相棒に、アルヴィンは落ち着け落ち着けとフォローしたり、ツッコんだりする。


『じゃ、俺の出番はここまで。次はエリーゼ嬢の番だぜ~』


ぱちりとウインクして、締めくくるアルヴィン。

彼の予告通り、次にエリーゼが画面に登場した。



『カナンさん、こんにちは。エリーゼです』


エリーゼは、にこやかに笑いながら挨拶する。

大人しくて引っ込み思案な幼い子どもだった以前とは異なり、明るく礼儀正しい少女になった。


『カナンさんのお祝いを言うために、特別にティポが起きたんですよ』

『ハロー♪ カナン、ひっさしぶりー! おたんじょうびおめでと~!』

『お祝いのプレゼントは…今回用意できませんでした。でも! 近い内に必ず送りますね!』

『こうごきたーい♪』


手を振って、次の人に移りますと告げるエリーゼ。

なら…次はあの人かな、と頭で考えていると…



『カナンさん、ご無沙汰しております』


やっぱり…と予想が的中して、カナンの口元が緩む。

…ローエンだ。

シャール家に仕えていた、ラ・シュガルの軍師は今では、ガイアスの側近の一人として活躍している。


『このような形でお祝いを申し上げるのは新鮮ですね。ほほほっ…じじいも一度はビデオレターを作成してみたいものです』


茶目っ気たっぷりに語るローエン。

カナンは、ビデオを回している彼の姿を想像してみた。


「…意外に合ってるかも」


ああみえて、あの老紳士は機械の使い方が解れば、早く順応していそうだ。


『さて、まだまだ貴女にお祝いを言いたい方はいっぱいいらっしゃるので、最後に一言だけ…。

いつでも、ローエン特製ブレンドティーと茶菓子を用意して、お帰りをお待ちしていますね』


ローエンが入れてくれる紅茶とお菓子は格別だ。

ビデオレターでそれらを用意してくれると前以て予告してくれる事自体が、カナンにとって素敵なプレゼントに思えた。

楽しみだわ…と胸を弾ませていると、次々にでてくる馴染みのある人物たちに、カナンは目を見開く。



「うわぁー…」



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