【5】プレゼントはサプライズ的に!
その日、カナンは【クロト=メグスラシル】の自宅で寛いでいた。
「今日は冷えるわね…」
暖かい湯気がたつマグカップを片手に、窓辺から外を眺める。
粉雪がちらちら空から降ってくる。
白い結晶を見て、ふと思い出してしまう。
…同じ雪が年中降りしきる白銀の町の事。
…つい最近まで旅をしていた仲間の事。
…そして、ようやく思いが通じ合えた《あの人》の事を。
「元気にしてるかしら。みんな…ガイアス」
懐かしそうに目を細めて、彼らの事を思い浮かべていると、チャイムが鳴る音が聞こえた。
誰だろうと、インターホンをみると…姿が見えない。
悪戯か…と首をかしげていると、再びインターホンが鳴って、テレビモニターにぴょこっと露わになる丸い頭と愛らしい瞳。
扉をそろ~と開けて首だけ出してみると、インターホンにしがみ付く赤、黄、緑の三色の小人がそこにいた。
「「「ドララー(こんにちはー)!」」」
「あら…こんにちは、ミニドラちゃん達」
ずるっと赤のミニドラが、インターホンから落ちそうになってしまう。
慌てて、他の二体が引っ張っている光景を見て、思わず口元が緩む。
「寒いでしょ? 早く入って」
はい、どうぞと温めたホットミルクを差し出すと、ミニドラたちは美味しそうに飲む。
小皿に置かれている、色とりどりの金平糖をモクモクと食べる。
「どうしたの?」
「「「ドララー、ドラドララ(はい、これ御届け物だよ)!」」」
そう言って、差し出されたのは一枚のDVDだった。
なんだこりゃ…と首を傾げて、不思議がるカナン。
『届け物』だとミニドラたちが言うからには、誰かからの贈り物だろう。
はたして中身は…とそれをDVDレコーダーに挿入してスイッチを押してみた。
パッと画面が浮かび上がると、そこにはテッテレーンというBGMとともに、【カナンさんへ】という文字が表示された。
すると、次の画面にエクレシア仲間の普賢真人がでてきた。
(えっ、普賢さん?)
『こんにちは~、カナンさん。このDVDは果たして君のもとに届いているかな? 途中でヴァリアーの人達の妨害にあってない事を祈ってるよ』
ヴァリアー……カナンの幼馴染が率いるイタリアの暗殺集団の事だ。
その幼馴染は、カナンがガイアスと結婚を前提に付き合っている事を未だに納得していない。
ちなみに、ガイアスが時折送っている手紙や品物が彼らの手により、一部届いていない事態になっているのは、彼らが原因である。
陰で、ア・ジュールとヴァリアーとの密かな攻防が繰り広げられているのを知る由もなかったカナンでも、そのDVDの普賢の言葉にハハーン…と何かを感じ取った。
『まあ、それはさておいて今回、このDVDを作成したのは、とある人物からの依頼があったから。その人と話し合いをした結果、ビデオレターを作成する事になりましたー』
にこやかに笑って告げる普賢。
初めは、ぽかーんとしていたカナンだったが、すぐに我に返って、そのDVDの映像をみる。
ふと、普賢が立っている背景をみて、あっ…と声を漏らす。
その町並み、夜の闇と星の輝きに覆われている空の風景には見覚えがあった。
『賢さん、そろそろ本題に移った方がいいんじゃないか?』
『あぁ、ごめんね。前置き長かったかな』
「しかも、ビデオとってるの、ダンさんなんだ」
少し呆れた口調で普賢に話しかけている映像担当者もまた、よく知るエクレシア仲間だった。
二人の会話のやり取りから、ダンが今回の撮影を行うために巻き込まれたんだな~という事情を俄かに感じ取り、カナンは思わず苦笑いする。
『さて…今から、たくさんの人からいただいたメッセージを放送します。じっくりとご覧ください』
普賢がそう告げると、卒業式で流れている定番のBGMが流れて、画面が変わっていった。
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