【5】プレゼントはサプライズ的に!



それから、普賢は残りのエクレシアとも連絡をとって、カナンに何をプレゼントしたのか聞きだした。


「ダンさんは『手帳』。コゼットさんは『ティーカップセット』…リエさんはカナンさんのお気に入りの『歴史小説シリーズ』を贈ったそうです」


なるほど、とガイアスは顎に手を押さえる仕草をして頷く。


「あと思いだしたんですが…」

「何をだ?」


ウィンガルが尋ねると、普賢は微笑みながら言葉を続ける。


「ふーちゃんは『たまごボーロ』をあげてました。ちなみに、僕は『手作りのお茶碗』です」


まだ幼子のソラも、プレゼントを用意していたとは…少し驚きつつも、ガイアスはふむ…と眉根を寄せる。

普賢のおかげで、どんな物を贈ればいいのか…一つの目安にはなったが、しかし、プレゼントをするなら、まだ誰もあげていない品物にしたい。

しかし、その具体的なものが像を為さない。

腕を組んで深刻そうに悩む姿を見兼ねたのか、ウィンガルが口を開いた。


「陛下、僭越ながら女性の好きな物を差し上げては…」

「好きな物か…」

「花は如何でしょうか?」


花…スタンダードだが、好む女性は多い。

そうだな、と頷くと、アグリアが会話に入ってきた。


「花以外にも何か贈った方がいいじゃないか?」

「あら、アグリア…いい案があるの?」

「べ、別にあいつのためなんかじゃないぞ! 陛下のためだからな!」


アグリアが顔を真っ赤にしてムキになる態度に、プレザがくすっと笑う。


「プレザ…お前はどうなんだ?」

「そうね。やっぱりファッションかしら。カナンはスタイルいいのに、地味な服装ばかりだもの」


プレザの提案に、ガイアスは回想する。

彼女の言う通り、カナンは普段から派手な服装では身につけない。落ち着いた色のものを好む。


「ババアが選ぶと、エロい格好になりそうだな」

「あの子もたまには、大胆な服装をするべきよ」

「なんだ…いつになく賑やかじゃのう」


任務から四象刃の最後の一人…ジャオが帰還したようだ。

プレザが事情を話すと、彼もふーむと顎に手を当てて思案する。


「酒なんてどうじゃ? カナンが【美味い】と絶賛しておった《パレンジワイン》が出荷する時期だ」

「ワインか…」


側近たちから次から次へと、提案が出される中、普賢は扉越しにある視線を感じた。


「誰だ?」


ガイアスも同じく、気配を察したのかすぐさま声を投げかけた。

ぎぃ…とゆっくりと開いていく重厚な扉。

そこから、恐る恐る顔を出したのは侍女のミリアを筆頭に数人の見習い達だ。


「何用だ」


ウィンガルは眉を潜め、速やかに去る様に言おうとしたが、ガイアスがそれを制して入室するよう目で促す。


「しっ…失礼いたします!」


やや緊張した面持ちで、ミリアが前に出ると深々と頭を下げる。


「へ、陛下…ぶ、ぶぶ無礼を承知の上で申し上げます!」



*** ****** ***



「…で、賢さん。俺を呼び出した理由って…」

「うん、手伝ってもらいんだ」


にこにこ笑いながら、お願いする普賢。

ダンはハァ…と息を洩らす。


『ダンさん、今忙しいかな? 時間があるならきてもらいたいんだけど…』


突然の連絡を受けて、何事かと駆けつけてみれば…そこは、親友の誘いで一度訪れた事のある世界だった。

その時は、あまり長居できなかったために町を観光する程度だったが…今回は、『観光』で終わりそうになさそうだ。

指定場所で合流するや、すぐに城へ案内されて、その城の主と側近たちと面会する事となった。


「こちらは、統一リーゼ・マクシアの王、ガイアス陛下です」


いきなり大物を紹介されて、何故このような経緯に至ったのかを事細かに説明してくれた。


「カナンさん、城内外すごく人気が高くてね…。使用人や一般兵の人達も、誕生日のお祝いをしたいって申し出てきたんだよ」


ほら、こんなに…とたくさんの嘆願書を見せつける。

同じ光景をどこかで見た事がある――デジャヴを感じた。

城の主や側近、扉の隙間からこちらを覗きこんでいる人達の視線が痛い。


「解った…それで、具体的に何をすればいいんだ? 賢さん」


待っていましたと言わんばかりに、普賢はふふふ、と満面の笑みを浮かべる。


「ちょっと、時間のかかる作業になるんだ…」



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