【5】プレゼントはサプライズ的に!
きっかけは、カナンからもらった菓子だった。
『はい、ガイアス…どうぞ』
華美すぎず、地味すぎない色合いのラッピングで包まれたその包みには、白と茶色の丸い物…チョコが入っていた。
口に含むと、スゥーと溶けて、上品な甘みが舌に伝わった。
後で、プレザからきいた話だが、その日は俺の誕生日であったそうだ。
日々の激務に追われて、自分の生まれた日すら忘れていたのに、カナンはきちんと覚えていてくれた。
あの時ほど、心の底から歓喜に満ちた日はない。
だから、今度は彼女の誕生日に贈り物をする事を強く誓った。
しかし―――
「えっ? カナンさんの誕生日は一昨日でしたけど」
別件で、カン・バルクにきていた普賢が質問に答えた瞬間、ガイアスはピシリと凍りついた。
なんという事だ…と眉間に手をあてて嘆息する。
できれば、内密でプレゼントを贈りたかった。
けれども…カナンから誕生日を聞けば勘付かれる可能性もあり、プレザやアグリアに聞いてみても、彼女達もそれについては知らなかった。
そのため、彼女の仲間であり、あの大事件以降、リーゼ・マクシアに定期的に訪れる普賢真人に尋ねたのだ。
けれども…つい二日前だった事を教えられてしまい、あまりのタイミングの悪さに、少し気落ちしてしまう。
そんなガイアスの事を見兼ねたのか、普賢は微笑しながら言った。
「陛下、誕生日に遅れたとしても、日頃の感謝の気持ちを伝える事で、喜ばない人はいませんよ」
「そうだろうか…」
「特別な日でない、何の変哲もない日でもプレゼントをもらえるならいつでもいいと主張する人もいますからね…僕の幼馴染みたいに」
普賢が穏やかに言う言葉に、ガイアスは半ば納得しつつも、カナンはそんなタイプではないと思うが…という疑問も芽生える。
だが、そんな些細な事も気にしている暇はない。
誕生日が遅れた分、彼女にとっておきの贈り物をしたい。
その気持ちがさらに強まり、ガイアスは再度別の質問をする。
「カナンは…どんな物を欲しているのだろうか?」
「うーん…」
普賢が困ったような表情で、首を少し斜めに傾ける。
その様子から、彼自身もカナンの好みに関してあまり知らないのだと察した。
「…そうですね、あっ…他の人達なら知っているかもしれない」
悩んでいた普賢が数分後に、ある回答にいきついた。
他の人―――という単語にガイアスも彼の意図を見抜いた。
カナンと最も近しい人物の事を差しているのだろう。
普賢は懐から携帯電話を取り出して、ピピッとボタンを押していく。
何度か、その機械を目にした事はあるものの、黒匣(ジン)とも源霊匣(オリジン)とも異なる異世界の代物の構造が気になってしまう。
「あっ、もしもし…普賢です」
どうやら、一人と通信が繋がった様だ。
ガイアスは、ジッとその様子を観察する事にした。
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