【3】A talkative person companion and a pen pal


「橙、待たせた…」


二人目は、上杉軍の総大将で、【軍神】としても名高い上杉謙信様の直属の部下、かすが様です。

本日は、春のほんのりとした温かさから冬の気温に戻り、少し肌寒く感じます。


「これは、謙信様からの差し入れだ」

「まあ、よろしいのですか?」


かすがは、土産物に春日山でとれる【マツタケ】をもってきた。

【マツタケ】は、未来でもめったにお目にかかれない高級品。

ましてや、天然物ならどの位の値段が付くでしょうか。


「いつも、お前が語ってくれる異国の御伽話の礼だ。謙信様も…早く新しい話をお聞きになりたいそうだ」


彼女がいう【異国の御伽話】とは…前世で、孫に語った絵本の物語の事です。

時々、中学生の孫娘が遊んでいた【テレビゲーム】の物語もお話します。

実を言いますと、結構【テレビゲーム】の物語を見るのが好きだったんですよ…(プレイはあまりせずに孫任せでしたけど)。

かすが様に、金平糖とこぶ茶を差し上げて女子だけの会話に花を咲かせる事にしました。



◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇



謙信様は、この世で最も気高く美しい御方なのだ。

あの御方を目にするたびに…胸の鼓動が高鳴る。

あの御方の白磁のように透き通る綺麗な手が、私の手を触れると…時が止まってしまう感覚を覚える。

先日、任務で些細な傷を負ってしまった。

謙信様にご心配をかけたくない…。

だから、私は怪我の事を隠す事にした。


「でも、痛かったでしょう?」

「ああ…。暗器に塗られていた毒の所為で、激痛が伴った」


それでも、謙信様のお顔が傷つく姿を見たくない一心で耐えた。

仮に、傷が致命傷になろうとも…壊死しようとも…私は構わなかった。

しかし…あの御方は、私の些細な異変に気付いてしまわれた。

いつも優雅に笑う顔が、何時になく悲哀に彩られ…厳しいお言葉を頂いた。


『美しきつるぎよ…。何故一人で背負うとするのですか。そなたの身にもしものことがあるならば…私は悲しい』


そのお言葉は、まるで槍で心の臓を突かれた痛みを与えた。

いや、それ以上に謙信様を悲しませた事の方がつらかった。

己の情けなさに悲観にくれそうになった…その時―――謙信様は柔和な笑みを浮かべこう仰ったのだ。


『そなたの傷は、私の傷でもあります。共に分かち合いましょう』


そう耳元で凛とした声音で囁き、優しく抱擁してくださった…ああああああ!


「素敵な主従関係ですね」

「ああああああッ! 謙信様ぁ~」


あまりにも砂糖たっぷりのロマンティックな話を聞いて、橙は頬を赤らめて感想を言う。

その話を語ったかすがは、主との美しい一時を思いだし、周囲に青い薔薇を飛び散らしながら悶えていた。

ちなみに、近くの木々からそれを観察していた里馴染みが、呆れ顔で傍観していた事を彼女は知らない。



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