第3章【1】束の間の普通の日常と、学校を欠席したライバル少女
ある日、天使や王様が住む世界に大きな異変が起きました。
黒い邪悪な魔物がたくさん出没するようになったのです。
黒い魔物は、あらゆる民の前に現れて襲い掛かってきました。
王様は勿論、家出して敵になった王子は困りました。
何故なら、さまざまな知識を知っている二人はその魔物の事を知らなかったのです。
戦う事に慣れている王子は、仲間と共にその魔物が出るたびに倒していきました。
同じく王様も、魔物の事を調べました。
しかし、そんな彼等を嘲笑うように魔物はどんどん増えていきます。
一方、天使はとても不思議な出会いをします。
ある日、天使が魔物達を対峙していた時の事。
元々、別の民が住んでいた場所に一人の女の人が倒れていました。
女の人はとても美しいヒトでした。
黄緑色の長い髪、雪原のような白い肌、薄い桃の薔薇を思わせる唇。
天使が見た事のない異国の服に身を包んだその人は、顔色がすぐれません。
試しに額に手を触れると、身体が冷たくなりつつありました。
…これはいけない!
天使は、女の人を助けるためにお家に帰る事にしました。
天使の事が心配でこっそり後をついてきた王様を見つけるや叱りつつも、
ちゃっかり彼の手を借りて女の人を運びました。
女の人を魔法で癒し、看病をして数時間。
ようやく身体が温かくなり、女の人の頬に赤みが差しました。
さらに一時間後、女の人は目を覚ましました。
『ここは…どこですか?』
女の人はどこか怯えながらも、天使に尋ねます。
天使は、女の人の事を考えて怖がらせないように受け答えしていきました。
天使の優しさに、女の人はだんだん彼女の事を信用するようになりました。
『あなたの名前は?』
改めて、天使は女の人に尋ねます。
女の人は名前を言って、そして…天使もまた自己紹介をするのでした。
*** ***** ***
「よかったね」
「どうして?」
「だって、天使さんはおねえさんと友達になれたんでしょ?
天使さん、ひとりぼっちじゃなくなってよかった!」
お母さんが予告していた通り、天使に友達が一人できた。
幼かった私は、自分の事のように嬉しくなった。
「あれ?」
ふと、お母さんの語ってくれた内容に不思議に感じた点があった。
「王様は、天使さんとおねえさんのそばにいたんだよね?」
「うん、そうよ」
「王様は、おねえさんと友達になれたの?」
この時、お母さんが語った話の中では、王様はちらりと名前だけ登場しただけ。
不思議なお姉さんとは一切、会話をしていない。
私の質問に対して、お母さんはうーんと少し困った顔で頬に手を当てていた。
「二人の事は、まだ話せないわ」
「え~」
「王様とお姉さんのお話は、もっと後になってお話しする予定なの。
だから待っててもらえるかしら?」
お母さんからのお願いに、私は「気になるのに…」と内心不満に思いつつ、しぶしぶ頷いた。
「そうね…それじゃあ、ちょっとだけ先のお話を教えてあげる」
「ほんとっ!」
「うん。お姉さんは天使さんのお友達になって、助けてくれた恩返しに
黒い魔物退治のお手伝いをしてくれる事になります」
「でも、黒いマモノはたくさんいてどんどんふえてるよ?
だいじょうぶかな…」
「最初は、天使さんもその事を心配していたけれど…
実はお姉さんはとっても強かったの」
「そうなの!」
「ええ、星の形の魔法の杖を使って、魔物をぱぁーと光に変えてしまう
…そんな奇跡を起こしたのよ」
お母さんが言ってくれた、次回予告に近い先の物語。
外の世界からやってきた、奇跡を起こす不思議なお姉さん。
その人が、天使にとってどんな存在だったのか?
…どういう影響を与えていったのか?
一週間後に語ってくれた次のお話で、その内容が明らかになった。
そのお話を聞いた時、幼かった私はどんな反応をしたのか。
記憶が微妙になっているため、思い出せない所もある。
でも…私は、そのお話を聞いて改めて天使とお姉さんの関係が大好きになった。
その事実だけはきっちり頭の中に今でも残っている。
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