【前日譚②】きっかけはこねこにん 2


綺麗な空の色の瞳、栗色の長い髪を後ろ手に一纏めにした綺麗な女性だ。

年齢は大学生くらいだろうか…とても不思議な雰囲気に包まれた人。


例えるなら…ソラは、野原に咲いているふわふわした『蒲公英』のような感じだ。

一方、あの女性は白く淡い花…まるで『百合』のような清らかなオーラを醸し出している。



(あの人を見ていると…胸がポカポカする)



心地よくて、春の陽だまりのような温かな気持ちになっていく。

ぽぉーと顔を真っ赤にして見惚れている向日葵に、仁王は「向日葵…?」と訝しげに呼びかける。



「仁王君…そちらが貴女の大切な人ですか?」

「そうです、リエさん」



女性…リエが、向日葵が恋人なのかと尋ねると仁王はその通りだと即答した。



「リエ・クローチェと申します。

はじめまして、向日葵さん。切原君。ヴィンセントさん」



ふわっと柔らかな笑みを浮かべて三人に自己紹介をするリエ。

向日葵だけでなく、切原とヴィンセントもほぉ…と微かに頬を紅潮させて「どうも」と会釈する。



「ふーちゃんを…この子を保護してくれてありがとうございます」

「…えっ、じゃあ…リエさんは…」


『話は後にした方がいいぞ』



向日葵が言いかけたその時、仁王の身体から暁が出てきた。



『闇の魔物が…活性化している』



暁が指摘した事に、向日葵達の目は先程出現したダークサイドへ集中する。



「いけない…早くいかないと!」

「落ち着かんか、向日葵…何があったんじゃ?」


「先輩、あの大きい奴を倒しに兄貴…

いやアクセルさんが単独で行っちゃったんです!」


『アクセル…あの今朝の赤髪の男か』



向日葵と切原の言葉を聞いて、暁がピーンときたように呟く。

仁王も今朝方、すれ違った外国人が脳裏をよぎった。



「あの外国人が…13機関の一人」

『左様、今も尚、出没しているハートレスを退治している者達だ』



*** ****** ***



仁王達が会話している同時刻、別の中学校のグラウンドに現れて、部活動していた生徒達を襲い掛かっている

シャドウを見えない所から倒した二名の人物。



「なんとか消せましたが…多数の学生に見られましたね」



書籍型の武器…レキシコンをパラパラと捲りながら、懸念を吐露するゼクシオン。



「我々の姿は見られていない、それだけで良しとするしかなかろう。

後で記憶を誤魔化せばよかろう」



そう言いながら、相方のヴィクセンが樹の影に隠れていた動物型のハートレスを

氷系の魔法で貫いて消滅させた。



*** ****** ***



 ズギュン、ズギュン、ズギュン!



「クククッ…ひっさびさの狩りは楽しくてしょうがねえってハナシだ!」



己の能力で高い位置から空間を開き、そこからガンアローの引き金を弾き、

光弾を連射するのは右目に眼帯をつけた男性…シグバール。

狙った標的…ハートレスは百発百中ですべて消し去っていく。



 シュッ、バシッ、ザシュッ



「無駄口を叩く余裕があるなら、少しは大物を狙え。

あの系統は複数回攻撃せんと意味がない」



シャドウ相手に、盛大に弾丸の雨をお見舞いするシグバールに対し、

ドレッドヘアーの男性…ザルディンは文句を叩きつける。

風を纏い、六槍を自在に駆使して空中を飛行するハートレス五体を一気に蹴散らす。



「ハッ、大型の奴はお前の十八番だろ。

俺は雑魚でも大量に来ると厄介なタイプが専門なんだよ」


「ふん、戯言を」



槍を閃かせてまた一体を霧散させると、ゆっくりと降下していき、地面へ着地する。

ザルディンが見据える次なる相手…ついさっき話のネタにあがっていた、大型のハートレス『ラージボディ』が

ドシッ、ドシッと地響きを立てて近づいてきていた。



「フッ…噂をすればなんとやらだな」

「張り切っていこうぜぇ~、ザルちゃん」



シグバールもまた狙いを変更し、ザルディンが二槍を双方の手に構え、

両側反対方向からラージボディへ攻撃を仕掛けた。



*** ****** ***



「フッ…他愛もない」



右手で一輪の薔薇を撫でながらそう呟く桃色の髪の美青年、マールーシャ。

大鎌を一振りするごとに、姿を消していくハートレスに手ごたえのなさを感じていた。



「もっと強力なモノがいるかと思ったが…これではつまらないな」

「油断は大敵だ」



マールーシャに苦言を呈するのは、大柄の赤銅色の髪の毛の男性…レクセウス。

大剣…アックスソードを地へ突き刺すと、大地を変動させ、地面を突き上げて

シャドウが強力になったタイプ、ネオシャドウ10匹を一気に駆逐した。



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