【前日譚②】きっかけはこねこにん 2


「あっ、携帯…」「誰だ?」



向日葵と切原が携帯を取り出して開くと、画面にはそれぞれ…



「!…雅治先輩」

「あ、丸井先輩からだ」



それぞれ、恋人と部活の先輩からだと分かり、すぐに通話ボタンを押した。



「もしもし…」

『無事か!』



仁王の第一声に、向日葵はクスッと笑みを浮かべてしまう。



『何がおかしいんじゃ…』

「ううん…嬉しくて」



恋人が心配してくれるその気持ちが伝わって、胸が温かくなる。



「丸井先輩、どーしたんッスか?」

『なあ、…今どこにいるんだよぃ?』


「学校のグラウンドです」

『そこに誰かいるか?』


「向日葵とヴィンセント、あと他に二人いますけど…」

『単刀直入に言うが…変な魔物と遭遇しなかったか?』


「…っ! その様子だと先輩もあのありんこに会ったんですか!?」

『やっぱそうか…』



*** ****** ***



丸井が言うには、彼もハートレスと出くわしてしまったらしい。

ジャッカルの家で宿題をして、その帰り道に怪しい気配がしたので、

振り返ればそこに数匹のハートレスが現れて襲い掛かってきた。


その時、暁からもらった勾玉が発動して結界を作り上げたおかげで難を逃れたが…

どんどん数が増えていく光景に危機感を覚え、素早く逃げた。


その際に、季節的に似つかわしくない黒いコートを着た、

触角のような特徴的な金色の髪形の外国人の女性と擦れ違った。


「危ない」と忠告しようとしたら…その刹那、巨大な雷がハートレス達を一瞬にして蹴散らしたのだ。

…開いた口が塞がらなかった。



『…ったく、雑魚如きが私を邪魔するんじゃないわよ』



ふん、と鼻で笑い飛ばすと颯爽とした足取りでそのまま去って行った。

呼び止めようともしたが、あまりにも気が強そうで声をかけるのを躊躇ってしまった。



*** ****** ***



「黒いコート…女の人…」


『他の部員の事も気になって、携帯で連絡したら…

俺以外の奴らも同じ魔物を目撃したり、遭遇していた。

それから…性別は違う黒いコートの人物に助けられた点もな』


「俺と向日葵もッス! あの小さなエクレシアの子とアクセルっていう人に助けられました!」


『!?…例の子も見つかったのか』


「はい…で、これから丸山先輩どーするんですか?」

『ジャッカル達と落ち合う予定なんだ。お前達も来いよ』


「場所は…?」



切原が丸山との連絡に集中している一方、向日葵は仁王からある指示を受けていた。



『ええか、向日葵。俺は今そっちへ向かっとる。

移動せんと待ちんしゃい』


「えっ、今移動してるんですか?」


『ああ、あともうちょいで着く…っなんやアレは!』



仁王の驚愕の声が聞こえた。



「…! 何かあったんですか…!?」



向日葵は不安が高まり、そう尋ねた時…

次に耳元に伝わったのは、一緒にいる切原の叫び声だった。



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