ふたつのステラ 【Una bella signora è un capo】
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三週間前、ハーパルさんからある依頼を受けた。
《スタンド能力者とのバトルで、思わぬ形でトリップしてきた人を暫くの間、こちらに住まわせてほしい》
依頼内容を聞いた時、あっ…また誰かが巻き込まれたんだ、と思った。
その理由は前例があるから。
以前、此処とは異なる平行世界から理不尽な形でトリップしてきてしまった女性がいた。
その人は、トリップした原因を突き止めて、無事に元の世界へ帰る事はできたけれど…
また、違う形で迷い込んだ人がくるとは予想外だ。
ハーパルさんが直々にお願いしてきた事から推測すると、その人物は彼の嫌いなタイプではないのだろう。
基本、ハーパルさんは面倒見がいい人だけれど、嫌いな人に対しては容赦がない。
前例の時に、そんな嫌いなタイプに当てはまる人物がいた
…その時の彼の言動は恐ろしいものだった。
第三者が聞いても、身体の奥底からじわじわと悪寒が侵食していくレベルだ。
『こちらの女性だ』
後日、紹介された人物を見て私は一瞬「あれ…?」と目を疑った。
何故なら、その人物は女性だけれど…外見はまだ10代前半の少女に見えたから。
『はじめまして、驚くのも無理はないが、こうみえてももう三十代なんだ』
相手が不快にならないよう顔には出さなかったけれど、どうやら彼女はお見通しだったようで、苦笑しつつ自己紹介してくれた。その後、名前を聴いたらさらに驚いてしまった。
―――『ディアボロ』
かつて、パッショーネの頂点に君臨していたあの男の人と同名のおんなの…人。
ハーパルさんは、ディアボロの立場に生まれた女性だと説明してくれた。
失礼だけど、初めの頃は警戒していた。
何分、あのディアボロの印象が強烈過ぎて、この人もパッショーネの頂点に立っているのなら…という不信感に近いものがあった。
でも、一緒に暮らし始めてその懸念が杞憂だったのだと気付いた。
ディアさん(ディアボロと呼んだら、混同しそうなのでこの愛称を使う事を許可してくれた)は、あの男とは全く違った。
彼女曰く、あちらの世界のパッショーネもまた体制を含め、一部の人物の性格が異なっているみたいだ。
平行世界における違いの事を、私達エクレシアの間では「偏差」と呼んでいる。
ディアさんが、ディアボロの立ち位置に生まれたのだから、その世界自体も、本来の運命の流れと比較して偏差が大きいのだろう。
また、ディアさん自身も自らがあの男の立ち位置にいる事をずっと前から自覚していたようだ。
彼女が生まれる前…前世が男性だった頃、その世界でジョルノ君達の活躍が描かれた書籍を読んでいたから。
「よかったよ、フィンさんが俺とあの悪魔を区別してくれて」
「…ディアさんは、あの人の事どう思っているんですか?」
「実力は認めてる…だが、嫌いだよ」
〝目の前にいたら殺してやりたくなる位にね。”
そう言った彼女の表情は、柔らかい笑みから一転、微弱な殺気を滲ませた威圧感を放った。
それこそ、裏社会のトップとその貫禄を証明するかのように…。
彼女と話をしていると、面白い発見がたくさんある。
人は成長していく過程で知識を培い、価値観を形成させていく。
人の価値観を一方的に否定する事は簡単だけど、違う価値観を認めていく事は難しい。
私はこの世界にトリップしてきて、様々な価値観の人達と会ってきた
…勿論、合ったり合わなかったりする事はある。
ディアボロが嫌いだったのは、人間性と価値観が合わなかったから
…自分可愛さに身内すら殺害対象にする人ほど、醜いものはない。
彼が歩んできた人生が明らかになっても、多分好きにはならないだろう。
だからかな…ディアさんに親近感を覚えるのは。
彼女は、娘も支えてくれる部下の事も大切な人だと思っているから。
あちらにいるトリッシュちゃんが、性別の違いはあるとはいえ家族に愛される幸せに恵まれた事を嬉しく思う。
【ホームステイ先の主の独白】
「あっ…これはPSの最新機!」
「ゲーム好きなんですか?」
「前世では好きなジャンルは結構やりこんだんだ。RPG系とかあるかな?」
「これなんかどうです」
「おおっ…!」
意外と共通の好みもあるところが、親近感を覚える。
…この人ともいい友達になれそうな気がする。
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