ふたつのステラ 【Una bella signora è un capo】
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意識がハッキリした頃には、俺は全く知らない場所にいた。
ここはどこ?
わたしはだあれ?
大丈夫、記憶喪失なんてやばい事態には陥っていませんでした。
いや、まずここはどこなんだ…という最初の問題は解決しないといけないだろう。
薄ら霧がかっていて、四方八方何も見えません。
あの犯人のスタンド能力だろうか。
こういう時は…
「すみませーん…どなたかいませんかー」
もしも、スタンド能力に巻き込まれたのが俺だけじゃなければ、親衛隊二名もいるのでは…?
ティッツァーノさんとスクアーロさんいますかー?
もしくは職員の人でも構いません。
でも、敵さんはでてこないでくださいね。
《これはまた…変わった人物がきたものだ》
耳元に聞こえてきた…聞きなれない渋い声。
ふと前方を見れば、薄らと人影が見えた。
「ど、どなた…ッ?」
「それはこちらの台詞なんだが…お嬢さん」
霧の中から姿を現したのは…30代後半の渋いおじ様でした。
*** ***** ***
「…という訳なんです」
「ふむ、スタンド能力に巻き込まれたのか」
彼是、二時間経過した。
俺は、目の前のおじ様…もといハーパルさんに事情説明をしている最中。
大まかに言うと、こちらのハーパルさんは天界のお偉いさんとの事です。
そう…此処はスタンド能力者が生み出した空間とかではなく、いわゆる『あの世』に相当する場所。
「これどうだい? ちょうど収穫時期で採れたての物だ」
そう言って綺麗に切り分けてくれた桃(らしき果物)を乗せたお皿を渡されました。
お言葉に甘えて頂きます…うん、うまい!
『あの世』というと、イメージするのが三途の川ですが…
此処はたくさんの果物がなる果樹園です。
甘い匂いがほんのり漂う不思議空間にいる中、俺は改めて自らの状況を整理します。
最初、此処があの世だと言われるや全身が硬直しました。
そうか、俺はスタンド能力でやられてしまったのかと。
病弱体質だし、いつかはあっちへいくんじゃないかとは薄々予感してたものの、こんな形で第2の人生の終焉を迎えるなんて、解せぬ。
…と納得6割と不満足4割気味に感じていた俺ですが、実は全然違っていました。
俺の命の灯はまだ消えていなかったのです。
「君のスタンドと相手側のスタンドの力が反発し合った結果、時空の狭間に切れ目を作って、君は巻き込まれた」
…彼曰く、俺のキングクリムゾンと敵さんのスタンド、能力を発動させたのがほぼ同時だったそうです。
その結果、異次元に穴をあけてしまって、こちらへと誘われたらしい。
なんか、これ某国民的アニメの映画で似たような現象を目にした事あるような…。
まあ詳しい検証はさておいて、生きていた事への喜びで「よかった~、俺はまだ死んでいない…」と安堵して胸を撫で下ろしました。
ですが、別の問題が急浮上。
そう…どうやって、俺は元の世界に帰ればいいんでしょうか?
「時空の歪みが俺の世界のどこかにあるはずだ…
その地点を見つければ、君を送り返す事は可能だな」
「ほ、本当ですか!」
「ただ…時間がどのくらいかかるのか…
すぐには帰還できない事は覚悟してくれ。
面倒事になっていなければいいんだが…」
ハーパルさんのその言葉に、俺はちくりと罪悪感という名の棘が胸に刺さってしまいました。
そうでしたね…もしも俺みたいにハーパルさんのところに住んでいる人が二次被害にあう懸念もあります。
「過ぎた事は仕方ない…ディアボロ、君がそこまで落ち込む必要はないよ」
慰めてくださるんですか…ハーパルさん。
あ、気づいたけれど今初めて俺の名前を言いました、この人。
「君は人助けのために能力行使の結果、やむなく巻き込まれた被害者だ。
そんな不可抗力の形でトリップしてきた人物には、俺はある程度の救済は施す方針でね」
「…ありがとうございます」
この人良い人だ…と胸がジーン。
「以前、好きな男を取られた一方的な逆恨みで、一人の女性を巻き込んで俺の世界を乱したはた迷惑な輩がいたんだ。そんな愚か者共はバッサリ切り捨てるがね。
まあ、君の場合はそんな事は一切ないと思うが…念のために注意はしておこう」
真顔で採ったばかりの桃(?)をバシュッと握りつぶすハーパルさん。
前言撤回、この人キレたらやばそうな人です。
「入り口が見つかるまでの間…君を一時的に保護する場所が必要だな。
…『彼女』に相談してみるか」
どうやら、協力者に頼んで仮住まいを用意してくれるみたいだ。
暫くの間、衣食住はどうにかなりそうです。
【ボスさん、協力者を得る】
(それにしても、一人の女性に復讐するために世界まで巻き込むなんて…
おっそろしい人もいるんですね。女って怖い…)
(あっ、俺も今は女でした)
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