【8】ボスさん、お留守番
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『はじめまして、まさか、君みたいな可憐なレディがいるとは思わなかったよ』
『いえいえ、そんな滅相もないです』
只今、イタリア語でお喋り中です。
日本語で話すトニオさんの印象が強かったけど、母国語で話すとまた違った一面が見られますね。
トニオさんも生粋のイタリアーノですね、女性には優しく、口説き文句もうまい。
『フィンさんには、いつもお世話になっているんだ。
今日は新作のドルチェを作って是非感想を聞かせてもらいたかったんだけど…』
『ありゃー…そうだったんですか』
トニオさん、タイミングが悪かったですね。
その上、彼は営業時間の関係ですぐにお店に戻らないといけないようです。
…それにしても、これまた美味しそうなケーキだな。
『まあいいさ。また作ればいい事だしね。
もしよかったら、ディアちゃん。君とステラちゃんで食べてくれるかな?』
『えっ、いいんですか?』
おおう、マジですか…?
トニオさんの新作ドルチェを真っ先に試食できるなんて、なんと贅沢な…!
『構わないさ。捨てるのも勿体ないし、君達みたいな可愛い子に食べてもらえれば、私もドルチェも大喜びだ』
『感想は今度お伝えします!』
食べ残すなんて事しませんよ。
全部味わって、感想を包み隠さずに連絡しますよ、誓います!
『ありがとう。いつか私のレストランにも来てほしいな。
その時はサービスしてあげるよ』
『はい、必ず!』
「とにーしゃん、あんがとーvv」
じゃあね、とウインクしてお店へ帰るトニオさんに御礼と挨拶をし終えると、俺はすぐに台所へ直行した。
「まさか、トニオさんに会えるとはなー」
友好的な人物だったら大歓迎ですよ。
でも、ジョジョの世界でそういう人って少ないんですよね
…大抵は敵だし、そこが切ない。
第1部から6部までの物語が脳内で再生される中、俺は包丁でトニオさん特製新作ドルチェを均等に切り分けた。このドルチェ…チーズケーキ、見た目はシンプルだけど、美味しそうな匂いがプンプンします。
トニオさん曰く、複数のチーズを使っているようで、あ…まずい涎出てきそう。
「今日中に食べれば問題ないって言ってたし、フィンさんも間に合うはず」
フィンさん用に、ケーキを分けておきました。
「はーい、ふーちゃん。どうぞ~」
「あーん」
トニオさん、ふーちゃん用のケーキもつくっていました。
桃のケーキです。
一口サイズにして食べさせてあげました。
「うまみ~vv」
美味しくてたまらない、と満面の笑みを浮かべるふーちゃん。
その様子を見てると、こっちも癒されてしまう。
さて、こちらもチーズケーキを試食ターイム!
「ん…んまぁあああい!」
こ、これは予想以上だ。
トニオさんのドルチェ、恐るべし!
注意深く観察してみましたが、パールジャムは混入していないみたいだ。
スタンドを使わずとも、このお味…さすがはプロですね!
モクモクとケーキを味わいながら、至福の一時を過ごしていた俺達。
けれど…この後でとんでもない客人がやってくるなんて、一体誰が想像できたでしょうか?
【ボスさん、お留守番】
ケーキを食べてると、無性に紅茶が飲みたくなりました。
茶葉どこだっけ…と探していると、再び扉をノックする音が聞こえてきました。
コンコン、コンコン…
(…今度はどなた?)
ケーキを食べているワンダニャンを、ジッと見ていたふーちゃんに、しぃーと人差し指を立てて静かにするようお願いした。扉に聞き耳を立てて、注意深く気配を探ってみる。
『…フィン、いるかい?』
男性の声がした…けれど、一体誰なのかがピンとこない。
けれども、俺の中の何かがこう囁きました。
(この人は…スルーしてみよう)
なんでしょう…妙に胸がざわざわするんです。
長年、修羅場を潜り抜けてきたギャング特有の直感ってやつでしょうか。
敢えて、居留守つかって様子の出方を見るのも防衛の一環です。
その時…ふーちゃんが俺に近づいてきてスカートの裾をくいくいっと引っ張ってきた。
「ふーちゃん、今は静かに…」
「ありぇ」
ふーちゃんが、後方にある窓付近をもみじのような手で指している。
「……ッ!!!???」
その方向へ自ずと首を向けて…俺は思わず叫ぶそうになるのをこらえた。
何故なら、その窓からこちらの様子を伺う人らしきモノがいたから。
『【ステラ】ハ…イルノカ。ナラバ、アノ少女ハ誰ダ?』
塩基配列の描かれた包帯状のラインが全身に走っており、顔の上半分と肩、腰の辺りは
紫色の装飾品のようなもので覆われている。
…あれは人型のスタンド。
そして、名前も知っています。
…『ホワイトスネイク』
そうなると…扉の向こう側にいる人物は、間違いなくあの男性って事になります。
(ぷっ…プッチ神父ですとぉおおおお!?)
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