【7】ボスさんとリーダー
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「…てな感じで、あっちのメローネもはっちゃけてるよ」
「…あいつはどこの世界にいても性格だけは共通みてえだな」
食事を開始して、早2時間30分が経過した。
最初の剣呑な空気はどこへやら。『敵意』『警戒心』と言う名のガチガチの鉄柵は開放されて、今やリゾットさんとフレンドリーにお喋りしています。
料理の箸はすすむすすむ~、金魚草の身は鍋にしてもやっぱり美味しい。
つけダレは、ポン酢醤油がお勧めです。
リゾットさんは、ゴマダレで召し上がってるみたいです。
「こっちの『ボス』はどうだい?」
「…守秘義務がある、細かい事は言えない」
ふむ…大分酒を飲んでいるのに、思考は安定したまま。
こちらのリゾットさんはウワバミのようです。
俺も結構強い方です。
昔はすぐに酔いが回っていたけれど…
隙を見せたら命に関わる場所にいた影響で、アルコールに強くなりました。
「だが…」
先程バッサリと答えを返したと思っていた、リゾットさんがさらに続きを口にした。
「…これだけは言える。今の組織は【悪くない】」
微かに口元を緩めると、リゾットさんはグラスのワインを一気に飲み干しました。
…そうか、よかった。
少なくとも、リゾットさんは新体制のパッショーネに居所がある。
ジョルノ君の事を気に入っている。
本来はあの悪魔に無残に殺されてしまい、亡くなった後も他の構成員達から罵倒されてしまう悲運な立場だった。俺がいる世界では、俺が彼の運命を変えた。
そして、この世界では…フィンさんとふーちゃんが彼を救った。
原作沿いを好むの人からすれば、納得いかないルートだろう。
でも…無数にある並行世界の中でも、暗殺チームが報われる世界があってもいいと思う。
彼等がおかした所業云々を責める人もいるだろうし、私怨を持つ人だっている
…そういう人達から見れば納得できない事かもしれない。
それでも…俺はそうした事を後悔していない。
多分、フィンさんも同じはずだ。
「今日、君とこうして酒を飲み交わす事ができてよかったよ」
「…おかしな女だな」
そういう口説き文句は恋人に言ってやれ、とフッと失笑されて忠告されました。
おおう…リゾットさんからカッコいい台詞を言われてしまった。
彼のファンなら卒倒する殺し文句じゃあないですか。
「お鍋に、うどんいれますね」
おおっ…楽しみにしていたシメタイム!
フィンさんが金魚草のうまみ成分が滲んだ出汁に、うどん玉を投入しました。
あと生卵を片手で器用に割って、お鍋版月見うどんの完成…見るだけで食欲をそそられてしまう一品。
さてさて、とりましょうとりましょう。
「うーん…うまい!」
シメのうどん、最高です。
俺がうまうまとうどんを食していると、様子を間近で見ていたリゾットさんがこう言いました。
「…納得した」
はてさて…何が納得したのでしょうか?
少なくとも、俺個人は、リゾットさんとの距離はそこそこ縮んだと思っています。
あ、リゾットさんとフィンさんも食べましょう。
早くしないと、うどん伸びちゃいますよ?
【ボスさんとリーダー】
「どうぞ」
食事も終わり、ディアボロが一足先に部屋へ戻った後…
フィンは、リゾットに食後のデザートを差し出した。
本日の夜のデザートは、グレープフルーツ入り【シャンパンシャーベット】
シャンパンは、厳密にはフランス・シャンパーニュ地方で生産された物を指すのだが、生憎それは入手できなかったため、今回はスパークリングワインで代用した。
「いかがでした?」
「…最初、お前が脅されてやむなくこの家に住まわせているのかと疑っていた」
「フフッ、心配性ですね」
「あの【悪魔】の下衆な本性を知っているからだ。
この世界で殺ったはずのアレが…並行世界からきたと解って警戒しない奴がどこにいる?」
そう言いながら、リゾットはシャンパンシャーベットを一匙すくって口へいれる。
「もし、あの人と同じ性格だったら、速攻断っていました。
でも…ディアさんは違う。喋ってみて分かったでしょう?」
「ああ。アレとは真逆の位置にいるな…【彼女】は」
そう、外見は可愛らしい10代の美少女。
直に話してみて、あちらのディアボロの人となりは180度こちらとは違っていた。
「暫くは、ディアさんと共同生活する事になるから…『例の件』はまた先になりますね」
「……」
眉を潜め、無言になるリゾット。
…彼が言いたい事はそれで十分伝わってくる。
「大丈夫。“逃げませんよ”」
それでも、フィンの答えは変わらない。
ほんのりと笑って告げると、リゾットはハァ…と軽く溜息を漏らした。
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