ふたつのステラ 【arcus caelestis(アルクス・カエレスティス)】
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辺りが宵の闇に染まった頃、名前とソラはすぅーと寝息を立てて熟睡していた。
寝室から離れたリビングルームで、フィンは誰かと話していた。
「…調査の方は?」
『"名前”トイウ方は、コノ世界にソンザイしない事ガ判明。
カノジョのセツメイにイツワリはございマセン』
念のために、名前の語った話が本当かどうか、失礼を承知で調査させてもらった。
…フィンのスタンド『ホーリー・トーカー』によって。
『この世ニハたくさんノ奇々怪々というモノがありマスが、名前さんのヨウに、多重トリップという現象にソウグウするナンテことありうるのデショウカ?』
「私を含めたエクレシアや一部の人を除けば、そういう体質になる人もいるって、前に本で読んだ事があるかな…。でも、大抵そういうタイプの人は、自己コントロールができなくて、不可抗力で世界を移動しちゃう、らしいですよ」
フィンは、そういうタイプの人物にまだ遭遇した事はないが…
名前はそれに該当するのかもしれない。
…となると、名前がこの世界にトリップした理由はその体質ゆえの不可抗力なのか?
『まだまだ情報ブソクデス。
名前さんにソノヘンのこと、もうチョイくわしくきくべきではナイでしょうか?』
「そうだね…。名前さんの体調が完全に回復したら、聞いてみようかな。あと…『あの人』にも」
『あの人』―――この世界における、フィンとソラの支援者の事。
多分、『あの人』なら、名前さんがここにトリップした理由を知っているはずだ。
「何か、品物でも持っていこうか…」
ノートパソコンの画面を開いて、かちかちと贈り物の検索をするフィン。
『このジキのギフトセットはこれガ一押しカと』
「おっ、いいですね。こだわりの燻製・熟成 ハムセット」
ネットは便利だ。
いちいちお店に行かなくても注文ができる。
「今なら送料お得サービス…よし、これにしましょう」
送信ボタンを押して、予約は完了した。
手続きを終えた直後、ホーリー・トーカーが口を開いた。
『マスター、名前さんは本当二、アノうり氏の恋人ナノデスカ?』
腕を組んで、フードで遮られている目を寝室へ向けるホーリー・トーカー。
半信半疑…いや、信じらんねーといった感じだ。
「みたいですよ」
『ぶっちゃけ、アリエネーでスね。
あのキュウケツキ、女のことエサかヨクはきにしか考えてなかったジャないでスか。
リカイニ苦しみマス』
ホーリー・トーカーは、DIOの事をあまり好きではない。
本体であるフィンは普通に友達としてみているにも関わらず、スタンドは逆の思考だ。
自我があると、本体とは違う性格が形成されてしまうようだ。
「とうかさんは、厳しいね」
『いかにマスターと親しいトモだろうと、ワタシは奔放なシキマは容赦シマセン』
きっぱりと即答する自らのスタンドに、フィンは苦笑するしかない。
『でも、名前さんはうり氏にカコワレテタ女とはチガイマスね。いい匂いガします』
ホーリー・トーカーは、匂いに敏感だ。
ソラのスタンドもそうだが、どうやら匂いで、人の性格が分かる、…との事だ。
果たしてそれが本当なのか、信憑性は微妙だが。
『ほんのりハナをクスグル甘美なカオリ……
そして、うり氏独特のあのキョウレツナ匂いがカンジラレナイ…フシギです!』
「意外と毒舌ですね」
『いえ、シゴクまじめなカンソウです』
「それ、名前さんの前では言わないでね」
『いしきシナケレバ、ワタシの言語ハ解読デキマセンノデそれはもーまんたいだと』
【多分、聞かれても問題ない】
名前は、ふと目を覚ました。
(トイレ、行きたい…)
眠気をこらえながら、トイレのある場所へ向かった。
スッキリして寝室まで戻ろうとした時、リビングルームで、フィンが誰かと話しているのが聴こえた。
悪いと思いながら、聞き耳を立てると…
『sph8えんth0えh04!』
「……厳しいね」
『lp32hb9r4lうttwwww!』
「意外と毒舌だね」
名前は息を飲み込んだ。
顔を隠した、紫色の隠者風の服装をした見知らぬ女性が宙を浮いて、フィンとお喋りしている。
(あの女性…もしかしてスタンド?)
フィンもスタンド使いだったのか。
でも、スタンドが何語を話しているのかさっぱり分からない。
『NON、kshy0sktん8っぴhdl』
「それ……名前さんの前では言わないでね」
(えっ…私の話題!?)
フィン、それとスタンドが、自分のどんな話題を話しているんだ…と、気になってしまい、名前はそれ以降眠れずに一夜を明かす事となった。
【To Be Continued… ⇒】
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