ふたつのステラ 【arcus caelestis(アルクス・カエレスティス)】
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一通りの話が済んだ。
この女性は、名前さんというらしい。
驚く事に、彼女はうりさん…もといあのDIOの恋人だ。
“この世界”ではなく、別の異世界…パラレルワールドの。
名前さんはもともと、生まれ故郷で一人暮らしをしていた。
DIOや承太郎君達の事を彼女はこの時点で知っていた。
何故か…彼等の物語が書物となっていたから。
こういう事は珍しくない。
星の大海に存在する世界で、別世界の出来事が書物となっていた…という事実は多々あるからだ。
話を戻すと、名前さんはある時、トリップしてしまった。
そして、彼女が到着した場所がDIOの寝室だった。
着地した場所があまりにも危険だ。
一歩間違えたら、DIOの食事になっていたかもしれないのに…。
それを免れたのは、名前さんがDIOを目にして、てっきり夢を見ているのかと寝ぼけていたため。
それから、DIOや因縁のあるジョースター家の情報を知っていた事もあり、客人として迎え入れられたようだ。
DIOや周りの部下達と過ごす日々は、彼女にとって楽しくて、ハラハラして、満ち足りていた。
しかし、承太郎君達との戦いにより、それは壊れてしまう。
自らのスタンドをフル活動させて、命からがらDIOを助けた直後、彼女は眠りについた。
正確には、時を移動していた。
起きた時は杜王町にいて、露伴先生のところでお世話になっていたそうだ。
承太郎君ともそこで再会して、スピードワゴン財団に連れていかれて、暫くそこで働いた。
それでも、DIOの足跡を辿ろうと、単身イタリアへ行って、そこでパッショーネの面々とハル君とあった。
そこで…ようやく念願のDIOと再会し、恋人関係になった。
*** ****** ***
「素敵なお話ですね」
「そう言われると照れちゃうな。でも…いろいろ大変な事もあったんですよ」
名前が、フィンの家に住み始めて三日経過した。
最初は、同じでも全く違う世界に迷い込んだことに悲観していたけれど、恋人や大切な人達がいる世界に戻るために、此処に身を置く事にした。
「そういえば、フィンさんとふーちゃんは…どういった経緯でDIOとあったんですか?」
「私は…共通の友達がいてその人を通して、DIOさんと会いました。
多分、ふーちゃんの方が付き合いが長いかな…」
「えっ、ふーちゃんが?」
名前の目が、自ずとソラへ向く。
ソラは、現在進行形でまったりしているワンダニャンの背中でお昼寝中だ。
ソラ……小さな1歳児の女の子だが、フィン以外の人からは『ステラ』と呼ばれている。
本当の名前を、フィンは敢えて教えなかった。
ややこしくなるし、この世界のソラの名前は『ステラ』なのだ。
かつて、親しかった最初の契約者からもらった絆の象徴を彼女は大事にしている。
だから、真名を言うのは控える事にした。
「ふーちゃんはどのくらい生きてるんだろう…」
「エクレシアは基本、肉体がなくなった時の年齢で時がとまっています。
ふーちゃんは生まれた時から水子(赤ちゃんの魂)だったから…この姿なんですよ」
フィンは、既に自分とソラが人外の存在である事を、名前に伝えていた。
最初は驚いていたものの、DIOと暮らしていた事もあり、意外とすんなりと受け入れてくれた。
「ふーちゃんは…成長できないのかな?」
「私も元『水子』でした。かなりの時間をかける必要はあるけれど、大きくなれますよ」
「へぇ…」
フィンの披露する豆知識に相槌を打つ名前。
「エクレシアって…フィンさんやふーちゃん以外にもいるんですよね。どんな人がいるんですか?」
「…ふーちゃん以外は全員大人かな。一人は10代後半あたりですけど。
あっ、私は直接会ったことはないです」
「へぇ…そうなんだ?」
名前は小首を傾げる。
…同じ種族なのにどうして面識がないのだろうか?
「…あんまりそこの所は深く追及しないでくれない方がいいかな。
その…私はふーちゃん達とは違うグループにいるようなものなので」
フィンが苦笑して補足説明した。
ああ、なるほど…エクレシアと言っても、派閥みたいなものがあるのか。
なかなか難しい構造だ。
「あの…」
名前が、少し躊躇いがちにおずおずと口を開いた。
「フィンさんは……DIOとどういう関係か、嫌じゃなきゃ、教えてもらえますか?」
「…ああ、あの人との関係ですか。うーん…『友達』です」
「友達…?」
「でも、プッチさんのような親友じゃないかな。あくまで話友達…」
フィンがそう答えると、名前はある部分に反応したのか、目を見開いた。
「プッチさん…って、エンリコさんの事ですよね。彼とも面識が?」
「さっき言った共通の友達が、プッチさんなんですよ。
彼とDIOさんは、時間があれば私の家に遊びに来ていました」
振り返れば、あの頃が一番穏やかで、三人でよく顔を合わせていた。
承太郎達との戦いがなかったら…今でも友達でいられただろうか?
いや…多分、何かしらの形でDIOとは距離を置くか対立していただろう。
プッチやDIOを慕う部下のように、彼に心を完全に許せていたら楽だったかもしれない。
けれども、それはフィン自身が許さなかった。
「自分の心を偽るなんてできない。
見て見ぬふりをするよりも、あの人に直にぶつかった方がいいと思った」
【語りあう】
フィンは、真剣な顔で己の考えと当時の事を語る。
名前がこれを聞いて、例え自分に憤り、恨む結果となったとしても…語らなければならない。
そういうある種の使命感に近いモノを駆り立てられたから。
【To Be Continued… ⇒】
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