【24】契約の儀式、前日
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※今回から、名前さんsideに戻ります。
※フィンの回想の中に登場するオリキャラが、不快な発言をしています。
苦手な方はご注意ください。
*** ***** ***
窓から差し込む光。
名前は徐に目を開けると、上半身を起こした。
「…今、何時だろう」
箪笥に置かれている時計に目を向けると、七時五十五分を差していた。
昨晩は、リゾットと話に夢中になってしまい、寝たのは午前二時くらいだ。
布団の近くにある箪笥の上に時計が置かれていた。
時刻は…
「八時五十分…もしかして、寝過ぎた…!?」
その時、襖の向こうから声が聞こえてきた。
『失礼いたします。名前さん、お目覚めですか?』
…フィンだった。
名前は「はい」と返事をすると、フィンは襖を開けて入ってきた。
「朝食の準備ができましたよ。昨日と同じ座敷で召し上がりますか?」
「あっ、はい…急いで着替えますね」
「ゆっくりでいいですよ。では、他の皆さんを起こしに行きますね」
どうやら、リゾット達もまだ寝ているようだ。
その事にホッとした半面、フィンはいつから起きていたのだろうか…と素朴な疑問が頭に浮かぶ。
「とりあえず、行かないと…」
ふぁ~…と欠伸をしながら、名前は布団を片付けて座敷へ向かう事にした。
「名前、ボンジェルノ」
廊下を歩いている最中、リゾットと会った。
「ボンジェルノ、リゾット」
「…昨日は、貴重な時間をもらった。感謝している」
「いいえ、どういたしまして」
「名前、ボンジェルノ! 今日も可愛いねぇーv」
「くそっ、寝足りねえ…ッ、くそ眼鏡の所為だ、くそっ!」
「メローネのやつ、夜中にパソコンいじってたのに、なんであんなに元気なんだろうなぁ~」
和やかに会話していると、メローネ、ギアッチョ、ホルマジオがやってきた。
彼等もフィンに起こされたらしく、ちょうど部屋を出てきたところらしい。
「朝ご飯、楽しみだね」
「俺は名前といっしょの時間を過ごせるだけで、お腹いっぱいになっちゃうよ」
「そうかそうか…なら、部屋に戻って視界に入るな。てめえの分は代わりに食ってやる」
「昨日の飯は最高だったなぁ~」
「…いい朝陽だ」
ワイワイと話しながら、座敷へ向かうと…笑顔のホリィが正座して待っていた。
「おはよう、皆さん! 朝ご飯も遠慮なくおかわりしていいわよ」
机に並べられた人数分の朝食。パンにオムレツ、ベーコン、ソーセージ、フレッシュチーズのサラダ、ヨーグルト(いちごジャムを添えて)と洋食だった。
パンは中央にある大きな籠に置かれていた。
三種類あり、焼いた厚切りトースト、バターロール、クロワッサン。
好きな物を取り放題とまるでホテルのビュッフェ形式だ。
食事の挨拶をしてから、名前はクロワッサンを一個取り、一口サイズにちぎって食べてみた。
「…美味しい」
濃厚なバターの風味とサクサクした触感がたまらない。
何よりホテルで並ぶような焼き立てのものを食べられるなんて…
なんとも贅沢な気分になる。
「このパン、ホリィさんが作ったんですか?」
「いいえ、フィンちゃんよ」
笑顔で返された言葉に、名前は目を丸くした。
「フィンちゃん、朝早くから頑張って作っていたのよ。美味しいでしょう?」
「ベネ! でもさ、フィンの手作りパンって初めてじゃない? リーダー」
「あぁ…うまいな」
メローネの言葉に頷きつつ、リゾットはクロワッサンを味わっていく。
柔らかな笑みを浮かべているのは、意中の人が作ってくれた事も理由に含まれているに違いない。
「そういえば、フィンさんは…?」
「台所にいるわ。おかわり用のパンを焼いているはずよ」
そうですか…と名前は呟くと、複雑そうに眉を顰めてクロワッサンを食べ進めていく。
「もぐもぐ…どうした?」
名前の様子に違和感を覚えたのか、ソーセージを咀嚼していたホルマジオが尋ねてきた。
「うん、ちょっと気になる事がね」
「フィン…の事か?」
「なんで、食事を取らないのかなって思って…」
「そうか、名前も気になるか」
なるべく小声で話していたが、耳に入ったのかリゾットもその話題に反応した。
「もしかして、リゾットも…?」
「ああ、前から疑問に感じていた」
フィンは、暗殺チームのアジトで住んでいた時も彼等と食事の席を共にしなかった。
リゾットは、フィンと二人だけで出かけた事もあるが…
タイミングが悪いのか、彼女が飲食をとる姿を見た事がないらしい。
リゾットの証言を聞いた名前は、ますます首を傾げてしまう。
フィンが食事する姿を見せないのは、何か理由でもあるのだろうか…?
「あらあら、二人とも気になっちゃうのね」
名前はあっ…と声を漏らした。
ホリィの耳にもばっちり聞こえていたようだ。
「あの…ホリィさんは理由をご存じなんですか?」
「ええ、知っているわ」
聞き返してみると、ホリィは笑って答えてくれた。
「本当ですか!」
「…教えて頂けますか?」
驚く名前の横から、リゾットが詳細を尋ねるが…
ホリィはパチッと片目を瞑って口元に人差し指を押し当てた。
「だーめ。私の口からは言えないの。
でも、あなた達ならフィンちゃんは素直に答えてくれるはずよ」
知りたいなら、本人に直接訊いてみなさい。
茶目っ気たっぷりにアドバイスしてくれるホリィに、名前とリゾットは顔を見合わせた。
・
