【18】タカフミ・スドウ
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「…ふーん、つまり名前は別世界の俺達と仲間で、フィンの過去話にしょっちゅう登場する友達(ダチ)のうり様の恋人で、亡霊になった犯人の魔の手で、この世界にきてしまった…と」
簡単に言えば、こんな感じだよね。
メローネがスラスラと話の要点を話すと、名前はコクリと頷く。
「別世界だぁ? パラレルワールドだぁ?
別世界の俺達と仲間だと…くそっ! 話が大きすぎだろーがッ…!」
「おまけに、ホルマジオが名前の世界の同一人物とフルチェンジしたなんて…
俺的にはマジで胸ワクなんですけど!」
混乱して頭を抱えるギアッチョとは対照的に、メローネは目を爛々と輝かせてホルマジオを見る。
ホルマジオは軽く肩を竦めて「しょーがねえなー」と苦笑する。
「…『ホルマジオ』だったんだね」
「おぅ、久しぶり」
「ごめんね…私の所為で」
「気にすんなって。…お前が無事だって分かった事が何よりも吉報だ」
謝る名前の頭を優しく撫でながら、ホルマジオはケラケラ笑う。
「さて…全員が事情を把握したところで、本題に移ります」
ホルマジオさん…いいですか?
フィンの確認に対し、ホルマジオは真顔になって「ああ」と了承する。
「まずは、名前さんがいたあちらの世界の動向を教えてください。
名前さんが連れ去られた直後から…お願いします」
フィンの要求に対し、ホルマジオは一旦息を吸い込むと、語りだした。
…名前が消えてしまったあの日、ローマでの舞踏会の後の話を。
*** ****** ***
あの舞踏会の最中、名前は消えてしまった。
最愛の恋人がその証人であった。
まるで…そう、以前ジャポーネの映画で描かれていた「神隠し」という言葉がそれにふさわしい。
来客に紛れ込む形で護衛をしていたリゾットを含めたメンバー数人は顔には出さずとも内心は動揺していた。
そして…一番、衝撃を隠せなかったのがDIOだった。
話しかけてくる大勢の富裕層や裏社会の重鎮達を器用に避けながら、一旦休憩室へ戻った。
上等な生地を使った肘掛椅子に腰かけるや、DIOは冷たさを孕んだ顔で、リゾット達を見据え、こう指示した。
『名前を見つけろ…茶番を仕掛けた愚か者共々な』
聡明な頭脳の主人は会場から退室した、わずか五分に満たない間に思考を働かせ、結論を導き出していた。
…名前は何者かの手によって攫われた。
…犯人は、DIO、パッショーネもしくは名前に怨恨を抱く人物
…その犯人はほぼ100%、スタンド使いである事。
主の命令に従い、任務を遂行する。
限られた情報の中、リゾットを筆頭とする暗殺チームの名前捜索と犯人捜し…高難易度の任務が始まった。
しかし…一日、また一日と過ぎていき、有力な情報も得られず終い。
DIOも独自の情報網を張り巡らし、ジョルノも組織の構成員に指示し、イタリア中をくまなく探し回ったが、手掛かりが掴めずに途方に暮れていた。
*** ****** ***
「DIO…皆、探してくれてたんだ」
自分のために、DIOが…多くの人が捜索してくれていた事が嬉しくて、申し訳ない気持ちになる。
「それにしても…あちらの俺達が苦戦していたのに、どうやって“ココ”まで辿り着けたんだ?」
話を聞いていたリゾットが率直な疑問を口にした。
何の手掛かりも得られない中、突如『名前がいる場所が並行世界』というピンポイントな情報を入手するなんてあまりにも不自然だ。
「…確かに、『俺達』やボス、DIO様だけじゃあ無理だった。“あの男”が来るまでは…」
「あの男…?」
ホルマジオが髪を掻きながら、複雑そうな表情で口にしたその単語に、フィンはピクッと反応する。
「きっかけは…一つのメールだった」
*** ****** ***
舞踏会から三週間後、ジョルノを支援する大富豪からのものだった。
その大富豪は、スタンドは見えないものの、そういった超能力的な現象に対して理解があり、DIOもそこそこ面識のある初老の男性である。
《信頼できる仲間が突如、行方不明になった》
名前の一件も話しており、念の為にどこかで見かけたら連絡をしてほしいとお願いしていた事が功を奏したようだ。
『私の知人に、不可思議な事件や現象を解明する男性がいます』
この時、捜査が行き詰り、暗雲が立ち込めていた事もあって、そのメールはジョルノは勿論、暗殺チームやDIOにとっても一条の光だった。
ジョルノの決断は早かった。
その日の内に、大富豪とコンタクトを取るや、その男性に会う約束を取り付けた。
約束当日、ジョルノはスーツを着てその張本人が訪れるのを待った。
場所は、DIOの屋敷。当然、DIO自身も同席している。
念の為に、能力で透明になったリゾットや小さくなったホルマジオ、隣の部屋にプロシュートとペッシも待機。
時刻は、午前11時。
キィ…
『お客様がいらっしゃいました』
扉が開き、姿を見せたテレンスの声に、二人の視線はそちらへ集中する。
テレンスに呼ばれ、姿を現した男性。
なんと名前と同じ…日本人で、外見は20代の青年だった。
青年は、二人に対してニコッと人懐っこい笑みを浮かべて挨拶する。
『どーも、初めまして。俺の名前はタカフミ・スドウです。よろしく』
*** ****** ***
「タカフミ・スドウ…って…!」
「フィンさん…知り合いですか?」
目を大きく開けて驚きの声を上げるフィン。
名前が知人なのか尋ねると、フィンは緩慢に首を振る。
「直接の面識はありません。
でも…私達、エクレシアやその筋の関係者の間では有名人なんですよ、その人」
「へぇー…それっていい意味で? そうじゃない意味で?」
メローネがニンマリと不思議の国のアリスに登場するチシャ猫を連想させる笑いをして、興味津々に訊いてくる。
「うーん…私が知る限りではいい方向で著名な人かな。
特に、歴史学の分野で功績をあげている方ですよ」
いいな~、サインもらいたい…と説明の後、フィンはほんのり笑って呟いた。
フィンにそう言わせるなんて…
スドウ氏はかなり知名度の高い男性のようだ。
「…なんつーか、あいつやっぱ、すげー奴だったんだな」
「その言い方、気になるな。あちらでスドウ氏はその評価に相当する事をしたのか?」
リゾットが訝しげに聞き返すと、ホルマジオは「ああ」と首を縦に振る。
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