【17】 忍び寄る犯人の魔の手
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「ギアッチョ、女の子にそんな殺気ぶちかましたら逃げられるぞぉ」
後方から突如、肩をぽんっと叩かれて「ひゃっ」と小さく驚いてしまう名前。
首だけ後ろへ向けると「チャオ」と笑うメローネの姿が…。
「や、さっきぶり」
「ど、どうも…」
「なんだよ…メローネ。お前、くだらねえパソコンゲームしてただろーが」
「ちょっとブレイクタイム。それにフィンと名前とも話したかったんだよなぁ」
メローネはそう言いながら、名前の肩に手を回す。
「ねぇ、名前。君に聞きたい事があるんだ…好みのタイプとか教えてくれるかい?」
「えっ…えと、好みって」
「勿論、男のタイプさ。あとキスの仕方や夜の楽しみの事とか…色々と、ね」
うふふと怪しげに目を光らせながら、質問したがっているメローネ。
名前はああ、この人らしいなと苦笑する。
「それに…名前を紹介された時に、初対面じゃない感覚がしたんだ。
もしかしてさ、以前どこかで会った事ないかな?」
メローネが愛想よく笑いながら言ったその言葉に、名前はドキッと心臓が高鳴った。
〝 この世界とあちらの世界での違いがほとんどない人物ほど、『ゼーレ・フェアビンドゥング』にかかりやすいんです ”
先程、フィンが言ったホルマジオがかかった症状の説明が頭をよぎる。
まさか、メローネも…と一気に顔色がなくなる。
「おい…どうした?」
名前の顔色がすぐれない事に気付いたのか、ギアッチョが訝しげに眼を細めて問いかける。
「い、いえ…なんでもないです。ナンパお上手ですね」
「カワイイ子がいるのに、声をかけないなんてイタリアーノの名が廃るからな」
「ったく…グダグダ喋る暇があるなら部屋に戻ってやりやがれッ!」
ハハハッと笑うメローネに、ギアッチョが悪態をつく。
よかった…誤魔化せたとホッと胸を撫で下ろした。
その時、名前は突き刺すような視線を感じ取った。
ハッとその方向へ視線を向けるが…誰もいない。
「…ところで、ギアッチョ。部屋に戻る前に軽く運動していかない?」
「お前の誘いは、大抵碌でもねえことばっかだが…」
持っていたペットボトルのスポーツ飲料水を勢いよく斜め右前方へ投げつけた。
バシュッ、パァン!
その刹那、ペットボトルが内側から膨らむように破裂した。
飲料水の飛沫が廊下に飛び散るのを構う事無く、ギアッチョは「行くぞ!」と命令する。
メローネは名前を横抱きすると、ギアッチョの後を追う形で走っていく。
その直後、後ろから硝子と爆発音が響き、名前は目をそちらへ向けると…
自動販売機がショートし、ガラス戸にヒビがいくつか刻まれ、破壊されていた。
これは…間違いない。『スタンド』による攻撃だ!
「くっそ! ジャポーネのホテルだからって油断してたぜ!」
「敵は中距離か、遠距離型かな…ギアッチョが咄嗟に投げたペットボトルは外側から
…というよりも内側から壊されたって感じだったけど」
エレベーターに乗り込んで、ハァハァと息を整えるギアッチョ。
メローネは名前を降ろしながら、冷静に敵のスタンドを分析して現段階で把握している情報をまとめる。
「…俺が、敵を引きつける。メローネ、そいつをリーダーたちのとこへ連れてってくれ」
「りょーかい。俺もベイビィをつくれる素材がないし、足手纏いになりそうだ。
名前、ついたら一気に行くよ?」
「…はい」
チーンとエレベーターが到着の音を知らせた。
扉が開いたと同時に、メローネは名前の手を引いて駆け出そうとした。
…その時、メローネの顔すれすれに素早い何かが掠った。
反射的に名前を守るように抱きしめて、しゃがみ込む。
白い綺麗な頬に傷ができ、血が滲み出ているのが見えた。
メローネは、その部分を手で擦って指先にべっとりついた己の血液を見て「わぉ」と軽く驚く。
「俺ってついてるなー。数センチ違ったら間違いなくあの世行きだったぜ」
「メローネさん…怪我を」
「このくらいどうって事ないさ」
そう言いのけるメローネの表情は真剣なものに変化していた。
ぺろりと指先についた血を舐めとると、隣で既にスタンドの装甲を纏っているギアッチョをちらっと一瞥する。
「多分、そろそろ仕掛けてくるんじゃあない?」
「ケッ! だったら…」
メローネの睨んだ通り、会話中にまたしても素早い何かが名前達の身体スレスレに打ち込まれていく。
すると、ギアッチョが凍らせた空気の壁を作り出し、技を出した。
「ホワイト・アルバム ジェントリー・ウィープス!」
彼を中心に迫ってきたモノがすべて跳ね返されていく。
跳ね返ったモノは窓、壁、天井へと打ち込まれ、そこには小中クラスの穴ができてしまう。
その時、一瞬だけゆらりと透明なものが見え…輪郭を露わになった。
『おのれ…こっちでも同じ技にやられるなんて…ッ!』
「……ッ!」
名前は息を呑んだ。
鮮明にある人物の声が耳に届いたのだ。
そして…その声は、名前の中のある記憶を呼び出す。
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