ふたつのステラ 【arcus caelestis(アルクス・カエレスティス)】
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「なるほど…入れ違いになったか」
リンゴォ…じゃなくて、ハーパルを迎え入れた名前は出来立てのコーヒーを差し出した。
ありがとう、と礼を言うと優雅な仕草でそれを飲む。
(この世界での…リンゴォ・ロードアゲインが、この人なのかな?)
―――《リンゴォ・ロードアゲイン》
名前とフィンがいるこの世界が、とある人物の手により一巡させられた世界で生きている男性である。
彼は、第23代大統領…ファニー・ヴァレンタインに雇われたガンマンとして、第7部の主人公であるジョニィとジャイロの前に立ちはだかる敵でもある。
《男の世界》…独自の美学を重んじるその姿勢は、彼らの後々の行動に影響を与えた位だ。
「あの、リン…じゃなくてハーパルさん」
「うん? 何かな?」
「差し支えなければ、教えてください。フィンさんのお友達でしょうか?」
目の前の人物が、果たして一巡前のリンゴォ氏なのか、どんな人なのだろう…という興味もあり、質問を投げかけてみた。
「フィンは、俺の愛人…」
「えええええっ!?」
「…というジョークは捻りがないな」
突如、爆弾発言をされたかと思えば、すぐに冗談だと真顔で言われた。
名前は「そ、そうですよねー…」と未だに心臓をバクバクさせながらも、苦笑いする。
「簡単に言えば…親友に近い協力者といったところか」
「協力者…?」
「彼女がどんな種族なのか、もう訊いているんだろ? 名前君」
ハーパルの言葉に、名前は「…はい」と遠慮がちな感じでYESと答えた。
「エクレシアは、単独であれ複数であれ異世界で活動をする時は、その世界の事情に詳しい協力者を得る事から始める。俺は、此処にいないフィンとは10年以上…そこにいるステラとは100年程の付き合いだ」
ハーパルの発言に、名前は驚愕した。
フィンとの付き合いの年月よりも、ソラの方が10倍の差がある事に。
「100年…って、貴方は……」
「君や他の人間がいう所の『人ならざる者』だ」
ハーパルは他愛もない日常会話の如く、そう言った。
コーヒーを飲む彼の向かいの席で、名前は目をパチクリさせている。
「もしかして、神様の使い…ですか?」
「まあ、そんな感じだな…それよりも、君は気味悪がらないんだね」
「…私の好きな人が吸血鬼なんです。だから、対照的な存在がいてもおかしくないなって」
名前がそう答えると、ハーパルは顎鬚を撫でながら「ほぉー」と感心したように頷く。
「君は素直な性格だな」
今まで、機微がなかったハーパルの表情に微笑が加わった。
…あっ、笑った。
思わず声に出したくなるのを抑えてしまった。
普段から表情に変化がない人ほど、顔に感情が彩られると凄く印象が変わるものだ。
笑ったハーパルは、不覚にも渋くて格好いいと思った。
「…えっと、ふーちゃんとはどこで知り合ったんですか?」
視点を変えた質問をしてみた。
「英国だよ」
「英国…ですか」
その国の名が出てきた瞬間、名前はハッとした。
「ステラは、あるきっかけでこの世界にトリップしてしまったんだ。
そこで、ジョースター家と呼ばれる名門貴族の少年と医師の娘の二人と知己の間柄となった」
まさか…と思い、次の質問を言うのを見透かしたのか、ハーパルがそう続けた。
(…ふーちゃんは、ジョナサンとエリナと友達だったんだ…)
ジョースター家とDIOとの全ての始まりともいえるあの時代に…ソラはいた。
多分、その頃からディオとも知り合いだったんだろう。
ディオは少年時代、ジョナサンを虐めていたから…
その所為で、ソラはいい印象を抱いていなかったのかもしれない。
でも、アルバムを見た時のソラの台詞を思い出すと…
ディオが『DIO』となってから、二人の仲は最悪からマシになったのだ、と思いたい。
「ただいま…あれー? ハーパルさん」
「やあ、待ちわびたよ」
区切りのいい所で、フィンが帰宅した。
きょとんとした顔で彼の名を紡ぐフィンと、きさくな感じで話すハーパルのやり取りを見て…
(…二人って、本当に仲の良い友達なんだな)
…と改めて、名前は実感した。
【一巡前のあの人(?)】
「仲良いですねー」
「そうですか?」
「まあ、悪友だからな」
「へぇ…(あれ、さっきとなんか違う事言ってる)?」
「あれ? 私って『悪友』のポジションなんですか?」
「俺はそうだと思っていたが?」
(結局…この二人ってどんな関係なのかな…?)
【To Be Continued… ⇒】
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