【1】転生少女は、五条家の子息と出会いました
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「つまり、五条君は舞香ちゃんとお友達になりたかったんだよ」
智彦がにっこりと邪気のない笑みを浮かべて、悟から聞き出した内容をまとめてくれた。
二人きりで話がしたい、と言われたので、舞香は兄達と共にレストランの前のソファーで待機していた。
二十分後、舞香達のもとへと戻ってきた智彦の解説によると…
①悟は、二年前のお茶会で舞香の事が気になっていた。
②同じ学校で見かけたので、どうにか接点を作ろうとしたけれど、うまくいかず。
③家で両親が「本宮家と藤基家がお見合いする」と話しているのを聞いた。
④ホテルを探して、お見合いの合間に接触すれば、友達になれる可能性があるんじゃ…と期待して来た。
「…合っているかな?」
「…あー、うん。そんな感じ」
にこにこ笑って確認する智彦に、悟は複雑そうに視線を斜め下に逸らして同意した。
「ふーん、友達ねぇ」「うそだ…絶対にあれは本音を隠している」と闘也と兄がこそこそ話し合っているが、舞香は聞こえていない。
「私と、ですか?」
「ああ、本当はいい…いや、友達になってくれるか?」
別の事を言いかけた気がしたが…悟の真剣な表情から、彼が遊び感覚や揶揄い目的で今まで接触してきたのではないと分かり、舞香は逆に安心した。
「でも、私にも予定があります。
これからは、かんたんに『キャンセルして』って言わないでくれますか?」
「うん…分かった」
「え、マジで…そんな事してたのか、この子……ひっ!?」
舞香が言った言葉に、兄がドン引きしたように感想を漏らしたが、悟から放たれる殺気と威圧で口を閉じた。
「それから、助けてくれてありがとうございました」
「あ、うん…」
改めて御礼を言うと、悟は頬を少々赤らめて返事してくれた。
舞香はクスッと微笑んで、「可愛い」と心の中で思った。
「あのさ、その…御礼ついでに、いっしょに菓子食べに行こうよ」
「さっき言っていたパティシエの…?」
「味は保証する。すげーうまいから! だから、ふた…」
「おー、いいな! 俺達も行こうぜ、和広!」
「ちょっ…なんでそうなるんだよ!?」
闘也が、顔色がすっかりブルーベリーになりかかっている兄のツッコミを無視して「同伴したい」と宣言してきた。折角だから、兄達にも美味しいお菓子を味わってもらいたい。
「…お兄さん達もいっしょでいいよ」
悟が渋々という感じで了承してくれた。
「五条さん、よろしくお願いいたします」
満面の笑顔で舞香が手を差し出すと、悟は「よろしく…」と手をそっと握りしめた。
こちらを見つめる青い瞳は先程と異なり、ざわざわがなくなり、落ち着いているように感じた。
【転生少女は、五条家の子息と出会いました】
「あまい…おいしい」
パティシエの店で、舞香はクロカンブッシュセットを食べていた。
程よいカスタードクリームの甘さが舌を包み込んで、幸せな気持ちが溢れてしまう。
「俺の分も食べなよ」
ショートケーキを食べていた悟がフォークで一口サイズに掬って、舞香に食べるように勧めてくる。
「いいんですか」
「ほら、あーんして」
「舞香、店員さんにフォーク持ってきてもらい…」
「あ”?」
「俺、変な事言ってないよね!?」
さっきから、悟はやたらと兄を挑発的に睨んでいる。
悟を宥めていると、店員がフォークを運んできてくれた。
ショートケーキを一口味わってみると、しつこくないクリームと苺の甘酸っぱさがマッチして、口内で素晴らしい味のハーモニーが生まれる。
「おいしいです」
「そっか、もっと頼もうか?」
「すみませーん、ケーキセット追加で~」
「あんたとお義兄さんは自重しろ」
ドスの効いた声で威嚇する悟に対して、闘也はニヤニヤ顔で余裕に対応している。
「お、お義兄さん…って…」と兄は戦慄しており、紅茶の入ったカップを小刻みに揺らしている。
「舞香ちゃん、後でお土産も買っていこう」
「はい!」
ニコニコしながら「両親達にお持ち帰り用のケーキを購入しよう」と提案する智彦に、
舞香は笑顔で即答した。
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