【1】転生少女は、五条家の子息と出会いました
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「そこから離れるな!」
悟がそう言うと、複数の呪霊相手に立ち向かっていく。
(すごい…)
彼は一歳年上で、まだ小学二年生なのに戦闘に慣れている。
(あの青い瞳が…関係している)
あの瞳は特殊な力が宿っている。
…兄と友達が言っていた。
呪術界の御三家には血筋によって伝わる相伝の術式がある、と。
悟は幼いながらも、その術式を用いているのだ。
(でも、使い慣れていない)
徐々に最初の勢いがなくなってきている。
術式を扱うのに、身体に負荷がかかっているのかもしれない。
呪霊の数が増えているのも、戦闘状況に影響している。
(一か八か…やってみよう)
舞香は目を伏せると、唇を動かしていく。
『御許に仕えることを許したまえ 響け、壮麗たる歌声よ』
自ずと前世の言語で呪文を唱えつつ、その魔法が最大限発揮できるように唄を奏でていく。
唄は自分の知っているものであれば、何でも構わない。
一番重要なのは…味方となる対象者の力を発揮できるようにする事!
『ホーリーソング!』
術が発動するや、悟の戦闘の勢いが戻った。
それどころか、格段に速いスピードで呪霊を退治していく。
(よかった、成功した…)
「…っ!? 舞香、逃げろ!!」
退治できて、安堵していた悟の表情が一変した。
叫び声と共に、舞香は視線だけ後ろへ向ける。
呪霊が至近距離まで迫っていた。
『バリア』
カキンッと壁に当たったかのように、呪霊が跳ね返る。
咄嗟に短縮した呪文を唱えたが、効果があってよかった。
跳ね返った呪霊が霧散する。
いつの間にか、移動していた悟が撃退していた。
「今の何?」
討伐が完了して、舞香はほっとしていたが…
再び、悟に手を掴まれてしまい、質問を投げかけられた。
「…あの、五条さんが倒したんですよね?」
「さっき、しゃべってただろ。おかしな言語!
あと歌ってただろ!! あれ、術式の一種なの?」
悟は、どうやら舞香の呪文が聞こえていたようだ。
どういう風に誤魔化せばいいのだろう…
舞香はうーんと思案してこう答えた。
「こわかったから、勇気が出るように歌ってみました」
納得させるにはやや強引な理由だが…
魔法の事は伏せた上でそういう風に言うしかなかった。
「…ふーん」
悟はジト目でこちらを見つめてくる。
ここで目を逸らしたらまずい気がする。
舞香もじっと目を合わせる事でなんとか上手く逃げ出す方法を考えていると…
「舞香……って、五条悟!?」
声を上げて、兄と友達が駆けつけてきた。
悟の姿を目にして、兄は盛大に顔を顰める。
「舞香ちゃん、何があった?」
友達の闘也に、舞香は呪霊の事を話す。
事情説明している最中、悟が兄の事を目を鋭利にして睨んでいた。
兄は年下の子に威圧されて、やや気後れしている様子だ。
「おーい、五条。なーに怒ってるんだ?」
兄の心情を察したのか、闘也が代わりに理由を尋ねた。
「あんたが、舞香の相手か」
「はぁ?」
(ん、相手とは…?)
舞香は疑問符を浮かべて、小首を傾げる。
「もう呼び捨てしてるし…」と兄が苦々しい表情で呟いているが、それよりも、悟の言葉の方が気になってしまう。
「藤基家と本宮家が見合いする…噂が回っていた」
「あぁ~…その事か」
見合い…初耳だ。
舞香が微かに目を見開いて、兄に視線を向けると「後で話すよ」と耳元で囁かれる。
「噂がどうであれ、お前には関係ないじゃん」
「あるに決まってるだろ!」
(ほわい…?)
フッと失笑して肩を竦める闘也に対して、悟は怒気を孕んだ声音をぶつける。
ピリッとした緊張感を伴う空気が生まれる。
やばい、やばいとおろおろしている兄。
この状況に、舞香も「どうすれば…」と不安が顔に露わになるくらい逡巡する。
「二人とも~、舞香ちゃんは…あ、よかった。見つかったようだね。
それと…何かあったのかな?」
そんな空気を一蹴させたのは、朗らかに声をかけてきた智彦であった。
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