【5】転生少女は、祖父の家でイベントに遭遇する
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すっこしだけ、不思議なー♪
小さい頃のおーはーなーし♪
小さい頃と言っても、前世の事ですけれど。
これは、まだ妹のマリエが生まれる前、私が外見が4、5歳くらいの頃のお話。
私は夢の中で、ある人と出会った。
その人は、とてもすごく大きな人だった。
一般的な巨人族よりも、巨体だった気がする。
外見は、豊かな顎髭を胸まで垂らしていた老齢のおじいさん。
漆黒の大角兜と全身鎧、蠢く黒いマントを纏っていて、如何にも闇の皇帝という感じの御方だった。
「どなた?」
「小娘よ、お前の父親の同族…所縁のある者だ」
本名は名乗ってくれなさそうなので、「闇のおじいさん」と言わせてもらう事にした。
闇のおじいさん曰く、彼は父の上司との事。
ふんわりと兄から聞かされた事を思い出す。
兄が小さい頃に、夢の中で不審な老人と遭遇したと話していた。
その老人は【父の上司】だと気安く話しかけてきて、兄に「名前を贈ろう」と言ってきた。
「小娘よ、お前に名前を授けよう…」
「いえ、けっこうです」
私は即座にお断りした。
兄も勝手に名前をつけられそうになった際に、「クーリングオフで」と返事したとの事。
見ず知らずの人に名前をつけられる…というのは抵抗がある。
そもそも、こちら側の意思を無視してそんな事をする人の性格はよろしくないのが定番だ。
「ヤミのおじいさん、わたしのことは『コムスメ』よびでいいですよ」
「全く…可愛げのない小娘だ。
あやつの血縁者は、知恵が働く者が多いのか…」
息子の方もやたらと警戒心が強かったし…とぶつぶつと呟く。
その発言から、兄が遭遇した不審者は闇のおじいさんだったようだ。
「ヤミのおじいさんは、どうしてここにきたんですか?」
「…お前の父親が生きている情報は、既に掴んでおった。夢渡りで直接、会いに行こうとしても、何者かの強力な魔力の所為で、あやつの領域に通る事すらできず阻まれてしまう」
多分、その結界は母の加護である。
闇のおじいさんは、父に会えない代わりに子どもである私と兄に接触してきたらしい。
「ヤミのおじいさん、おとうさんはむかし、いちぞくをツイホウされたんですよね?」
「あやつの追放宣告は、とっくの昔に解除しておる。
息子二人にその旨を伝えるよう命じたが…あやつに届いておらん可能性が高そうだ」
闇のおじいさんは、父を一族に戻したいようだ。
でも、それは無理です。
何故なら、父は『元』上司である闇のおじいさんの事を【面倒くさい人】だと思っているから。
指導者としては凄い人だけど、実の息子達の事を大事にしないダメダメなところがある。
だから、父は元上司の人から「戻ってこい」と言われても、「NO」と答えるはずだ。
「なんだ…その憐れみを含んだ眼差しは」
「いえ、げんじつって…かなしいですね」
「その意味深な発言、どういう意味だ?
気になるではないか…!」
「しらない方がいいこともありますよ」
「…あやつが儂について何か言ったのか?
おい、小娘…教えてくれ」
闇のおじいさんが慌てたように話しかけてきたけれど、私はノーコメントを貫いた。
それから、5回ほど夢の中でその人はやってきた。
…闇のおじいさんは、時間を持て余しているのだろうか。
「あのじいさん、相変わらず暇人のようだな」
兄にその事を相談したら、それ以降はおじいさんは出現しなかった。
「今度、変なヤツが夢渡りしてきたら、この呪文を言うんだ。
―――『 』
そうすれば、大抵は来なくなる」
結論から言うと、兄から教えてもらった呪文はとっても役に立った。
今世でも、この呪文を使用する時がくるのかしら?
できれば、使わない事に越した事はないのだけれど…ね。
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