【4】転生少女は、お出かけする(後半)
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「はい、着きました」
歩いて15分程度で、カフェに到着した。
店名は【フローライト】
チリンチリンと呼び鈴を鳴らして、入口の扉を開けると、和服姿の店員が出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。三名様ですか?」
「はい」
「奥の席へどうぞ」
店内は洋館のような作りで、店内に置かれているオルガンや上等そうなソファー…レトロな食器が多数置かれている。まるで、大正時代辺りにタイムスリップしたような気分を味わえるのがいい。
奥にある四人専用の席まで案内されて、舞香は窓際の椅子に腰かけると、その隣の椅子に悟が座った。
「はい。これをどうぞ」
向かい側の席に座った優月が、メニュー表を渡してきた。
「叔母さんは何にするんですか?」
「本日のケーキセット、ここのケーキは美味しいのよ」
叔母からのちょっとした情報を聞いて、なるほど…と頷く舞香。
早速、メニュー表に目を通してみると…
定番のものから季節限定のスイーツまで、バリエーションが豊富に揃っている。
「チョコレートパフェとアップルパイもあるわよ」
「あっ…はい」
優月の言葉に、舞香はさっきの演技で自分が食べたいと主張したスイーツがその二品だった事を思い出す。
「それじゃあ、アップルパイとアイスミルクティーにします」
どちらも好きだが、両方食べるのはさすがにお腹が膨れてしまうので難しい。
だから、一つに絞って飲み物を選んだ方がいいと思った。
素直にその事を言うと、優月が「あー、確かに」と納得したのか微苦笑する。
「じゃあ、俺はチョコレートパフェにする」
すると、悟が「パフェを食べたい」と告げた。
メニュー表を見なくてもいいのだろうか…
「なぁ、舞香…パフェとアップルパイ、いっしょに食べないか」
「…ほわい?」
「要は、量が多いから問題なんだろ。
それなら、俺と舞香でシェアしたら二つとも楽しめる上に、残さず食べきれる」
名案だと思わないか?
そう言われて、舞香はふむ…と考える。
確かに…悟と二人で食べれば、お腹の負担もかからないし、二品を味わう事ができる。
「いいですね、喜んでお願いいたします」
「きーまり!」
「なら、二人分の食器も用意してもらうわね」
すみませーん、と優月が店員に声をかける。
優月が店員と話している傍らで、悟が舞香に話しかけてきた。
「舞香は、夏休みの宿題は終わった?」
「ほぼできました。あとは絵日記だけです」
「自由研究とかあった?」
「はい。特に指定はなかったので、植物図鑑で100種類の花の事を調べて、ノートにまとめました」
「すげー…気が遠くなりそう。
俺、めんどくさかったから家にある歴史書を見て、面白そうな話をピックアップして丸写ししただけだぜ」
「ちなみに、どういう出来事を書いたんですか?」
「そうだなぁー…嵯峨天皇が小野篁に出題した難問とか。
【子】を12文字並べて『なんて読むんだ?』ってやつ」
そうして、話に花を咲かせている間に注文したメニューが運ばれてきた。
舞香は出来立てのアップルパイをフォークで一口サイズに切ると、口の中に入れて咀嚼する。
「おいしい…」
真っ先に、その感想を出してしまうくらいの美味しさだった。
サクサクしたパイ生地に、たくさん入っている林檎の程よい触感がたまらない。
アップルパイは林檎の種類によって、味も変化してしまうメニューだ。
このお店で使用している林檎は甘すぎず、酸っぱすぎない…丁度いいものだ。
後味にくどさが残らない、すっきりしているところもいい。
「おぉ…このパフェ、うまいじゃん。
ほら、舞香も食べなよ」
隣で、大きめのチョコレートパフェを味わっていた悟が、舞香にも食べるように勧めてきた。
店員が用意してくれたスプーンで、チョコレートソースとアイスクリームの部分をぱくっと食べてみると…
「甘くておいしいです」
「だろ~」
「五条さんもどうぞ」
お返しにアップルパイを勧めると、悟はフォークで大きめにカットしてぱくっと食べた。
「んんっ、なにこれやべぇ!?」
「お口に合いました?」
舞香の質問に、悟はこくりこくりと大きく頷く。
それから、二人は交互にスイーツを食べ進めていった。
「このアップルパイ、配送してるかな…」
「店員さんに聞いてみましょう」
「舞香、ほらほらパフェを早く食べねえと溶けちゃうぞ」
「ん、ではお言葉に甘えて」
そんな二人の様子を、優月は微笑ましそうに見ながら温かいダージリンティーを啜った。
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