【4】転生少女は、お出かけする(前半)
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「すみません。お兄ちゃん、大変な事になってるみたいで…」
「全然。私も買い物に行きたかったから問題なしよ」
兄からの突然の指令(?)に、舞香は戸惑ってしまった。
詳細を聞こうとしたら…
『ひぃっ!? あいつが来る…早すぎでしょ!!』
『詳細は、叔母さん宛のメールで知らせるから!』
兄はそこで通話を終了させてしまった。
あいつとは一体、どちら様の事だろうか?
ただ、兄の怯えた雰囲気が伝わってきたので、これは只事ではないと察した。
数分後、優月の携帯のメール箱に兄からの詳細が記載されたメッセージが届いた。
それに目を通した優月がふむふむと頷くと、舞香に「買い物に行きましょう」と提案したのだ。
「どこに行くんですか?」
「まずは、デパートに行きましょうか。
今、京都物産展をやっていて京都の色んな品物が見れるの。
それから、私の知り合いの人が経営している御店でお茶を楽しむ的なコースなんていかがでしょうか」
「いいですね!」
優月からの提案に、舞香は即座にOKした。
車の助手席に乗り、シートベルトを締めると、優月が車を発進させた。
(京都展か…どんなものがあるかな)
ワクワクしながら、助手席の窓から景色を眺める。
鳥に混じって、低級呪霊がふよふよと浮いているのが見える。
視線を合わせないように、他のところを見ていると…
(後ろのタクシー、ついてきている…?)
サイドミラー越しに映る、後方の黄色のタクシーの存在に気付いたのはつい先程。
最初は何も思わなかったが、彼是10分くらい同じ方向を走っている事に違和感を覚えた。
(これがサスペンスドラマなら、真犯人とカーチェイスして…的な展開になりそう)
その後、断崖絶壁まで追い詰められて、犯人が何故犯行に至ったのか告白して、主人公を手にかけようとする。
あわや絶体絶命か!?というところで、主人公の味方か警察がやってきて、めでたしめでたしとなる…
(…なーんてね)
事件に首を突っ込むような事なんてしていないのに、ドラマチックな展開は起きるはずはない。
サスペンスではなく、ホラーな展開は現実にところどころで発生しているのだが、そこはスルーさせていただこう。
「舞香ちゃん、着いたよ」
色々と考えている間に、車は駐車場に停まっていた。
舞香は周囲をさっと見渡すが、例のタクシーはどこにも停まっていなかった。
…思い過ごしだったようで、ちょっと安心した。
「物産展は、何階ですか?」
「5階の特設会場で行われているみたい…」
優月と話しながら、デパートに入っていく舞香は知らなかった。
例のタクシーが、デパートに近いうどん屋の前で停まった事。
そのタクシーから、白い髪の男子が降りた事を…。
*** ***** ***
エスタレーターに乗り、5階に辿り着いた。
「うわぁ、人がいっぱい…」
「京都物産展は人気が高いから。
毎回、行われるたびにこれくらい人が来るのよ」
優月と手を繋いで、舞香は先へ進んでいく。
「あ、これ…好みかも」
「この袋、かわいい」
最初に訪れたのは、小物などの工芸品を取り扱っている御店だ。
そこで、二人はそれぞれお気に入りの品物を見つけた。
優月は、撫子が描かれた淡い緑色の扇子。
舞香は、桜が描かれた薄桃色の巾着袋。
ジッと巾着袋を見つめている姪に、優月は視線にちらりと向ける。
「これは…買わないと後悔すると思わない?」
「はい!」
舞香も、ショルダーバッグから財布を取ろうとする。
すると、優月が待ったをかけた。
「私が払うから」
「えっ、でも…」
「いいの。ここは叔母さんに任せて」
そう言うと、優月は支払いを済ませてしまった。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます…いいんですか?」
念の為に、貯めていたお小遣いの半分を財布に入れていた。
値段的にもそこまで高くなく、舞香でも買える金額だった。
「可愛い姪っ子ちゃんにプレゼントしたい叔母心を尊重してくれると嬉しいなぁー」
返ってきた言葉を聞き、舞香は思った。
此処で意固地になってしまうと、逆に失礼になる。
…優月の厚意を素直に受け取る事にしよう。
「分かりました。お言葉に甘えちゃいます」
「ふふふ、気持ちが伝わってくれてよかった」
気を良くした優月に連れられて、次の御店へ移動していく。
着物や茶碗、京製の創作人形などの工芸品のコーナーを見ていく中、舞香はある事を思い出した。
「そうだ。お土産、買わないと…」
「お友達用に?」
舞香はこくりと頷く。
新学期に、学校の友達にお土産を渡したい。
同じクラスの特に仲の良い女の子二人には、色違いの和柄の財布を選んだ。
問題は…
(五条さんには、何を贈ればいいのかしら…)
成人男性であれば、お洒落なネクタイや上等なお酒などを選べるのだが…
小学生の男の子に渡すお土産は、セレクトに悩んでしまう。
「男の子って、何をプレゼントしたらいいんでしょうか」
「気になる子?」
「最近、お友達になったひとつ年上の子です」
相談してみると、優月も「そうね…」と頬に手を添えて思案する。
ここは無難に日持ちのするお菓子にしようか、と結論を出しかけたその時…
「優月先輩…?」
見知らぬ女性が叔母の名前を呼んだ。
呼ばれた本人が振り返ると、「あら…」と微かに目を見開いた。
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